音楽家 内橋和久さん

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好きなことをずっと続けている、
音楽家の内橋さん

続けてきたら「今」になった。

好きなことを続けることと、
好きなことで、お金を稼ぐこと。

それは、一緒に考えてもいいし、
別々に考えてもいい気もしました。

自分の好きなことを、続けること。

人それぞれ、
いろいろな人生を生きてきて、
その人生の分だけ、
いろいろな感じ方がある気がします。

内橋さんのお話を聞いて、
そのままでいいんだ、って思いました。

みんな、違って、みんな、いい。

自分の好きなことってなんだろう?

第三回、最終回は、
自分の、人生を生きる、みたいなお話です。

(好きなことを見つけられると、人生がちょっと、楽しく、彩られる気がします。)
第三回
それぞれが独立して"いいもの"をつくっているか?

今村 音楽を、やめようかなって思ったことはありますか?

内橋 なかった。

今村 それがすごいなって思います。

   好きなことを始めるときって、
   最初はみんな、好きな気持ちが大きいと思うんです。

   でもやっていく中で、嫌いになりそうになったり、
   ストップしたり、色々な事情でやめていく人もいますよね。
    
内橋 僕はなにもやらされてることがないから。

   自分でやってるだけだから。
   きっとやり方が間違ってるんじゃないかな。

今村 たしかに、自分でやってるっていうのは、
   強いかもしれませんね。
   
   自分でジャッジしてるってことですもんね。   

内橋 そう。

   たとえば、メジャーの人は、契約とかもあるでしょ。
   何年に、何枚、出さなきゃいけないとか。何があっても。
   それが契約だから。

   つくりたいものがない時でも、
   つくり出さなきゃいけないのは、大変だよ。
   
   もちろん、それで『いいもの』がうまれる時もある。
   でも、やっぱり大変だと思う。しんどい。

   なんでも、自分のやりたいことを続けられるか?ってことは、
   "その人次第"だと思う。

   それは上手いから続けられるわけではないし、
   下手だから続けられないわけでもない。

   下手でも、すごい好きで楽しかったら、続けちゃうでしょ。

   そこにしか、自分の何かを持っていけない人だったら、
   続けるだろうし。

今村 はい。

   続けることって大変だけど、大切ですよね。
   続けることでみえてくるものもあるのかなって思います。

内橋 うん。
   上手で才能ある人はいっぱいいたけど、みんな辞めちゃった。
   大学卒業して就職するって、すぱっと。
   
   もったいないなって思ったよ。
   僕があんなに上手に弾けたら、絶対やめないのに。

   でも、そういうことじゃないんだよ。

   音楽をやるってことも、
   音楽して生活していくことが、いいことでもないと僕は思う。
  
   好きだったら、ずっとやればいいし、
   働きながら、音楽好きでずっとやってる人もいる。
   それはそれで、素晴らしいことだと思うよ。

   僕は今、音楽で生計を立ててるけど、
   それはもう本当にラッキーだとしか言えない。
   
   だって、好きなことやってきて、食えてるんだから。
   こんな、しあわせなことはないなって思う。

   でも、基本は食べることとは別のところにあるから。
   続ける、続けないっていうのは。

   仕事がないから音楽を辞めちゃったっていう人は、
   "音楽を仕事にしたかった人"。

   "音楽をやることが目的"なわけじゃなくて、
   "音楽で食べることが目的"、そもそもが違う。
   
   でも世間的には、音楽で食べていけなかったら、
   成功してないって思われちゃう状況だからね。

   その狭間で、みんな悩んだりするんだよね、きっと。

   「いつまでも仕事もなしにそんなこと続けて!」
   って言われちゃったりね。
   
   僕だって、ずっと親父に言われ続けてきたからね。

今村 内橋さんでも言われたんですか?

内橋 言われたよ!笑

   大学卒業後の、就職する、しないのタイミングで。
   「なんで就職しないの?」って。

   まぁ、親としてはきっと、心配してたんだよね。
   
   でも僕は、考えて、自分で選択したんだから。
   30くらいまで言われてたかな。それからは言わない。

今村 ライブに来てくれたりします?

内橋 うん。ちょこちょこ来てるよ。

今村 いいですね。

内橋 でも、最期の方だよ。亡くなる前。
   親父は若くて63、64歳で亡くなったから。
   僕が30代後半のころかな。

今村 亡くなってしまうの早かったんですね。

   男の人にとって・・
   お父さんって大きくないですか?いろいろな意味で。

内橋 僕にとっては、
   はっきり言ってあんまり大きくなかったな。
   
   反面教師な感じがあって。

今村 そういう意味でも、大きくないですか?

内橋 うーん、うちの親父はね、普通のサラリーマンだった。
   
   サラリーマンとして、どこまで上にいけるのか?
   っていう社会で働いてて。そこで、ずっとやってきた人。

   僕が興味のない世界で、そこで悩んで悩んで、苦しんだ。
   それでストレスが溜まって、病気になって。
   
   あれを見て、僕は親父みたいになりたくないなって。

今村 お父さん、何が好きだったんでしょうね?

内橋 何が好きだったんだろう。

今村 野球とか?

内橋 うん、野球は好きだった。
   一緒に観に行ったりしてた。西宮球場とか。
   
   僕の名前、和久って"稲尾和久"からつけられたから。
   すごいピッチャーだったんだよ。

今村 スター選手から名付けられたんですね!
   いい名前じゃないですか。
   
   昔は映画スターから名付けられたり、よく聞きますよね。

内橋 今でもそうでしょ。笑

今村 失礼しました。笑
   
内橋 笑 和久って同じ名前のやつをみつけると、
   「お前の親父、稲尾のファンだろ?」って聞くと絶対そうだった。

今村 そうなんですね。
   
   平和の"和"に永久の"久"、いい名前だと思います。
   お母さんは、どんな感じの方ですか?

内橋 お袋は、ほわんとしてたかな。明るい。

今村 内橋さんはお母さんに似てるんですかね。
   別に、ほわんとしてるってわけじゃないですよ。笑

内橋 笑 はい。

今村 明るいというか、なんでも受け入れる感じがして。
   大丈夫でしょ、って。

内橋 うん。ポジティブかもね。

今村 はい。そうです!
   明るいってけっこう大事じゃないですか。
   
   特に、家の中でお母さんが明るいことって。

内橋 うん。2人ともポジティブだったかな。
   親父は疲れて帰ってきてたけどね。

今村 お母さんはライブに来られますか?

内橋 お袋は、よく来るよ。
   最近は年もあるから頻繁ではないけど。昔からよくね。

今村 自分がサラリーマンになるっていうことは、
   違うなって思うけれど、
   
   「お父さんがやってたことを分かるな」、
   っていう気持ちはあります?

内橋 うん。
   サラリーマンにもいろいろな人がいて、
   楽しんでる人もいる。それは、いいことだと思う。
   
   でも、うちの親父はそうじゃなかったと思う。
   
   会社をなんとかして、大きくしたいとか、
   自分がどれだけ貢献できるか、それが全てだったんだと思う。

   そのために、一生懸命、一生懸命働いてたから。

今村 情熱がありますよね?

内橋 うん、情熱はすごいあった。
   
   やってみたいことをトライしたり、がんばってた。
   繊維関係の仕事でしょっちゅうアフリカに行ってた。
   アフリカに行って生地を卸してた。

今村 その時代に、アフリカで商売って・・すごいですよね?

内橋 うん。しょちゅうアフリカに出張に行ってたよ。
   ケニアとか。麻を作ってた。

今村 すごい!お父さん、すごいじゃないですか。

内橋 うん。そういう意味では頑張り屋だったのかな。

今村 頑張り屋さんですよ!
 
   日本のちょっと前の時代って、企業戦士というか、
   とにかく働くって時代があったじゃないですか。

内橋 うん。それが良いとされていた時代だね。

今村 はい。
  
   お父さんは、必死に闘っていたんじゃないですかね。
   
   歳を重ねたり、上にいくほど、
   色々なしがらみや派閥、ポジション争いもあったり。
   大変だったと思います。
  
内橋 うん。
   そこに目標をおくのが、あんまりよくない気がするんだよね。
   
   一生懸命働いて、そこのポジションにいけないって分かった時に
   すごくショックで立ち直れなくなっちゃったりする人もいる。

   目標ってなんなんだろうね?達成させて終わるもの?
   
今村 分かります。

   ただ、一方で、目標を立てることで、
   がんばるひとつの方向性をつくれるのかなって思ったりもします。
   
   たとえ、その目標にたどり着けなくても、
   その過程で得られるものや同じ方向を向いている人と出逢えたり。
   逆もありますが。苦笑
   
   悩んだり、ピンチの時、
   わたしは同じ思いをもった人に助けられたりするので。

   でも、その"人"と出逢えないと・・かなり苦しいと思います。

   内橋さんは、がんばらなきゃいけない時は、
   どうやってモチベーションを上げるんですか?

内橋 学校のテストの時は一夜漬け。
   
今村 さかのぼりますね!笑

内橋 はい。笑
   詰め込んでがんばって、テスト終わったら全部忘れる。

今村 分かります。わたしも一緒です。笑

内橋 けっこう良い点とってたよ。

今村 内橋さん、優秀だったんですね。

内橋 高校はダメだったけどね。
   だいたい遅刻して、3時間目くらいからかな。

今村 え!お母さんは、なにも言わないんですか?

内橋 言わなかったね。笑

今村 お母さん、すごいですね。

内橋 自転車乗って、サンダル履いて行ってた。

今村 え!爆笑 おばさんじゃないですか!
   服装検査で怒られますよね?

内橋 服装検査とか関係ないし、
   色つきのシャツとか着てたから。

今村 !色つきのシャツって。笑
   なんか、アイドルみたいですね。

   高校は、卒業できたんですか?

内橋 しましたよ!笑
   進学校でしたから、一応。
   遅刻、早退は多かったけど、テストの点数は良かったから。

今村 わ、先生からするとちょっと嫌な感じの生徒ですね。笑

内橋 はい。笑

今村 わたしの時代でも、高校から携帯電話があって・・
   今は、学校は大変ですよね、きっと。

内橋 そうだね。今は授業中みんなやってるだろうしね。
   まぁ、でも僕が今高校生だったら、絶対使ってるからね。

今村 わたしも絶対使ってます!笑
   
   でも、すごい縛られたり、時間をとられる気がして。
   あの青春時代は、面と向かって、
   いろいろ過ごしてほしいなと思います。笑

内橋 何歳だよ。

今村 おばあさんみたいって言われます。笑

内橋 笑 
   人と繋がるためのものが、すべてそこに入ってるからね。

   携帯やパソコンが、人と繋がる媒体になっていて、
   直接会うよりも多くなってる。
   僕もそれはあんまり良くないと思う。

今村 はい。もちろん良い部分もありますが。  

内橋 便利だってことを分かった上で、使ってるならいいよね。

今村 はい。
   
   携帯、iphoneつながりで・・
   itunes、携帯で買う音楽については、どう思いますか?
   CDの音源のクオリティとは、違うんですよね?

内橋 うん。違う。

   MP3だから圧縮されてる。音がもっと狭い。
   配信用にデータを軽くするために失われてる音もある。
   
   そのかわり、便利で簡単に送れる。
   だからこれだけ普及してるんだよ。
   残念な話ではあるけどね。

今村 配信がメインにもなってきてますよね。
   たしかに、とても便利だと思います。

   CDをつくらなくなってる人もいますよね。
   内橋さんは作ってますよね?

内橋 うん。作ってる。
   
   ただ、CDはほとんど名刺代わりみたいなものかな。
   CDもデータだからね。

   でも配信するなら、配信の時に、
   もっとクオリティが高い状態のものを届けたい。

   もっと良い音、良い音楽を届けたい。

今村 内橋さんのCDって、ジャケットもかわいいですよね。
   音楽もいろいろな方とのセッションで、楽しいです。

   わたし、CDが好きで・・
   ちょっと変わってるかもしれませんが。

   ジャケットをみて、久しぶりにきこう!って思うと、
   なんかその時の思い出とか、記憶にもつながったりして。
   
   あと、形がないとよくわからなくて。笑
   
内橋 笑 またおばあさんみたいなこと言ってるね。

今村 ・・はい。笑
   でも、CDつくり続けてください!

内橋 はい。作ります。笑
       
今村 作曲してる時と、ライブで即興の音楽を演奏している時、
   どんなことをしてる時が、1番楽しいですか?

内橋 全部楽しいよ。笑 
   
   全然違うものだからね。
   ただ、やり方としては全部同じ。

   ライブの場合は、やり直しがきかない。
   家での作業は、やり直しがきく。そこが違う。
   
   自分のインスピレーションから生まれたものではあるけど、
   作曲はそれを試しながら、選択していく。緻密な作業。

   ライブは一発勝負だから、その緊張感が僕は好き。
   意外な事もいっぱい起こるし、そうなった時にワクワクする。

   『言葉と音の実験室』のアリス、初日はつっこんだじゃない?
    僕はすごく楽しかった。電池なくなったりトラブルもあったけど。

   「今、そこでできることを、ぱっと考えて出す」
   
   対応できるか、対応できる相手か、問われる。
   
   「今までと違う発想が出てくるか?」

   相手とコミュニケーションをとりながら、
   自分でも意外なものが出てきたりするから、楽しい。瞬発力。

今村 はい。
   瞬間、瞬間で変わっていきますよね。
   わたしも楽しいです。

   音と言葉ってジャンルがちょっと違うじゃないですか。
   音と音でやってる時と、違います?どうですか?

内橋 そうだね。ちょっと違う。
   でも信頼関係があれば大丈夫。面白い。

今村 たしかにそうですね。
   お互い「大丈夫っしょ!」みたいな感覚ありますね。笑

内橋 そう。信頼関係。お互いを受け入れる。

   あと思うのは、
   結局、全部音楽なんじゃないかなとも思う。

今村 あ、分かります!

内橋 そう。
 
   言葉にも、抑揚があって、音だし、
   そこにはやっぱりメロディーがあると思う。
   トーンや大きさも含めてね。音色がある。

   言葉をしゃべる人によって、カラーやイメージがあるから、
   それは音楽になりうるなって。

今村 はい、わたしもそう思います!

   音楽も、発する言葉も、音色みたいだなって思います。

   あと同じ言葉でも、音楽でも、歌詞でも、
   発する人によって、全然印象が違うものになりますよね。

内橋 そう。
   だから『言葉と音の実験室』も、
   どちらもが反対側にいこうとするけど、
   ある意味ひとつの方向にいく。言葉から、音から。

   一見、分かりにくいんだけど、
   感じる人は感じると思う。
   
   面白いよね。考えて聴くっていうよりも、
   感覚で聴くと、更に面白いんだろうね。

今村 そうですね。

   わたし自身も面白いです。
   毎回テーマは変わりますけど、
   いろいろチャレンジしていきたいなって思います。
  
   あと、内橋さんには映画音楽もやってほしいです。

内橋 うん。
   
   僕は、映画がすごく好きだけど、
   いま映画音楽をちゃんとつくってるのって少ないと思う。
   
   やっぱり劇伴(劇の伴奏)が多いよね。
   長いことやってないけど。

   本当に良い映画は音がなくても成立してるものが多い。 

   その上で、音を入れるってことがどういうことなのか?
   よりイメージを拡大できるか?試されるよね。

   それぞれが独立して"いいもの"をつくっているか?

今村 はい。

   子供の頃に観た映画って、エンタメ系も多いですけど、
   音楽も覚えてるんですよね。
   VHSのジャケットやポスターも一緒に。

内橋 良い映画って、全部いいんだよね、結局。

今村 はい。全部いいですよね。
   総合劇術ですよね。

内橋 うん。音楽でいうと、映画を知らなくても、
   その音楽だけでもいいなって思ってもらえることね。

今村 そうですね。それが理想ですね。
   
内橋 そういう現場、やりたいね。

今村 はい。
   いつか、一緒にできたらいいですね。

内橋 やりましょう!

今村 ぜひ!
   
   内橋さんは色々な方とお仕事されてますけど、
   はじめての方からオファーがきた場合は、どうしますか?

内橋 音楽家に関しては、やったことない人は一回やってみる。
   やってみないと分からないし。断る理由がないから。
   時間があればね。どんなジャンルもそうだね。

   相手が、自分に何を求めているのか?
   自分にしかできないことは何か?
   すごく興味があるよ。

今村 じゃあ、内橋さんから、仕事を誘うことは?

内橋 あるよ。それは本当にいいなって思う時は、
   自分から連絡をとるよ。
   その人の音楽の中に、自分が入りたいって思う。

今村 国や年齢、なにも関係なく?

内橋 関係ない。
   一緒にものを作りたいって思うか?
   特に僕は、うたが好きだから、うたの人が多いかな。

今村 UAさんと内橋さんの組み合わせ、すごくいいですよね!
   ライブでの『情熱』とか、自由感がすごくて、わくわくします。
 
   あと『Breathe』(CDアルバム)が大好きで、よく聴いてます!
   
   なんか自然の中にいる感覚というか、
   大地が広がっていくんです。

内橋 ありがとう。嬉しいです。笑

今村 はい。女性の歌手が多いですよね。みなさん素敵な方です。
   男性の歌手っていますか?

内橋 いるよ。細野晴臣さんとか。

   細野さんは、昔から大好きでね。
   巡り合わせで『僕らの音楽』の番組で曲を一緒にやって、
   それからの付き合いだけど、すっごく嬉しかった。

今村 細野さん、いいですよね。

   映画の『メゾン・ド・ヒミコ』の、
   バスのシーンの音楽がすごく好きです。
   
   ちょっと悲しいシーンですけれど、音楽は軽やかで、
   とても素敵なシーンで。大好きです。

   細野さんの音楽は劇伴じゃないですよね。

内橋 うん。劇伴じゃない。
   音楽だけ聴いても、いいよね。
   ちゃんと音楽が独立してる。

今村 はい。
   あと、七尾旅人さんも一緒にやってますよね?

内橋 旅人ね。旅人はね、音楽聴いてすぐ連絡したの。
   
   沖縄に行った時に、店で旅人のCDが掛かってて。
   「これ誰?」って聞いて。
   衝撃を受けて、すぐ連絡先調べて連絡した。
   
   彼がまだ、セッションとか全くやってない頃で。
   今は、もうやりまくってるけどね。笑

今村 じゃあ、内橋さんがきっかけかもしれませんね。笑

   初めて一緒にライブをした時はどうでしたか?

内橋 幸せな時間だったね。
   一緒に音楽の中にいれるってことが、嬉しかった。
   楽しいし、幸せな気持ちになる。

今村 自分から出逢っていったんですね。

   いい出逢いって大事ですよね。
   仕事もプライベートも。

   面白い仕事をやると、それを見てくれた新しい方が、
   面白い仕事をオファーしてくれたり。

   そういう流れが、一番良いなって思うんですよね。
   良い仕事の連鎖。

内橋 うん。それが一番いいと思う。

今村 はい。
   新しい出逢いもあって、
   豊かな繋がりができていきますよね。

   あと、新しい人や、仕事と、出逢えると、
   前に自分が仕事した人や、面白い人も紹介しちゃったりして。
   
   仕事の前後も繋がったりして。
   わたしはけっこう、そういうことが好きです。

   新しい仕事も、直感で決めますか? 

内橋 うーん、あんまり来ないけどね。 

今村 え!じゃあ、来てほしいですね。    
   勿体ないです!    
   
   内橋さんの音楽や、Daxophoneは、
   すごく新しくて、面白いと思うので、
   新しいジャンルの仕事とも出逢ってほしいなって思います。

内橋 うん、やりたいね。

今村 はい。
   ジャンルを問わず、面白そうなものだったら、
   やりたいってことですよね? 

内橋 うん。トライしたい。
   
今村 演劇、ダンス、映画、ライブ・・
   いろいろな音楽の仕事をされていますが、
   どんな音楽をやりたいですか?

内橋 全部やりたいね。笑

今村 爆笑 はい。

内橋 いいものだったらね。
   
   「これに音をつけたいな」って思うものだったら、
   なんでもやりたい。

   たとえばダンサーとやるのも、音楽的なんだよね。
   動きに合った音を出す、ってことを僕はやらないから、
   音は音、動きは動き、であって、「どう絡むか?」

   両者がどこで接点をもってくるか?ということでしかない。

   ただ単純に、動きに合わせて音を出すなら、
   それは劇伴(劇の伴奏)でしかないし、
   劇伴っていう発想自体があまり豊かじゃないと思う。

   「このシーンにはこういう音楽」
   っていう刷り込みみたいなものってあるけど、
    人によって、"印象"って違うと思うから。

   劇伴の世界って、実験しにくいんだと思う。
   やっぱりオーソドックスなものが好かれるんだと思うよ。
   シーンを盛り上げるための音楽っていう認識だから。
   
   悲しいシーンは悲しい音で、ってね。
   それは「答えがわかってる」ってことだと思う。
   だから、そこにはあまりいきたくない。

   人間の感情や動きって、
   そんな単純なものじゃないと思う。

   悲しい、楽しいだけじゃなくて、
   本心を隠してたり、もっと、もっと複雑だと思う。

今村 すごくよく分かります!

内橋 うん。

   「この感情は複雑なんだ」ってことを表現したいなら、
   そこには"複雑ないろいろな音"を入れないと表現できない。

   そうじゃないと、
   見たことのあるものしか作れないと思う。

   あと、何よりも、みてる人がそれを考えなきゃいけないと思う。
   想像するってこと。考えなくてよくなっちゃう。

   みてる人に、「あれ・・?」って思わせないと。

   たぶん、僕のライブに来てくれるお客さんの大半は、
   「何をやるか分からない」って思ってると思うよ。
   
   はじめから期待してない。
   今日はなにをやるんだろう?って。

今村 それは、わくわくしますよね。未知です。
   今日はなにをやるんだろう?って。

内橋 行く前から、なにをやるか分かってるなら、
   わざわざ行く必要ないんじゃないかなって。
   音源とレコードを聴くのと、ほぼ一緒だよね。
   ライブに行くってことが。

   僕らがやってることも一緒だよね。    
   いわゆる"朗読に音楽をつける"っていうことは、    
   始めからやる気ないでしょ?    

   それだけだと、つまらないから。    
   そうじゃないものをやりたいわけだよね。 

今村 そうですね。    
   自分たちも、新しい発見をしながら、
   広がっていきたいです。

内橋 そう。

   新しい発見をしながら、演奏家同士でも、
   自分が解放されて、相手も解放されて。
   同じように、お客さんも解放されなきゃ。
   そうじゃないと、しんどいと思う。
   
   僕は好きに感じて、好きに思ってほしい。

今村 内橋さんにとって、"想像力"ってポイントですよね?

内橋 うん。

   なんでもそうだけど、音楽でも、
   やり過ぎちゃうと説明になっちゃう。それはいやだなって。

   聴いてる人がどれだけ、いろいろなことをイメージして、
   いろいろなことを考えて、想像できるかなって。
   それが、いい音楽、いいライブだなって思う。

   "自分に反芻すること"。
   聴いてる人の経験に、訴えかけること。

   そういう意味では、
   お客さんはみんな違う経験をしてきてるんだから、
   みんな違う反応、感じ方をしてもいいと思う。

   そうさせないようなものはつまらないと思うし、
   その人の、個人的な部分に働きかけてないんだと思う。

   ふと考えたり、思い出したり、心にくるものは、
   限定してないものだと思う。
   隙間を与えてる。全部言い切らない。

今村 たしかに、内橋さん"隙間"がありますよね。
   わたしも隙間とか、隙があるものがすきです。

内橋 隙間がないと、ものを想像する余裕がなくなっちゃう。

   いろいろなモノが見えてくる、
   いろいろなきこえ方がする、同じものなのに。
   
   そういうものがいいなって思う。

今村 はい。すごくわかります。
   これからも、わくわくする音楽、新しい音楽を楽しみにしてます。
   
   内橋さん、ありがとうございました。

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*お知らせ*
2015年3月7日(土) OPEN 19:00 START 19:30
『言葉と音の実験室Vol.4  –薬指の標本–』
@ポスターハリスギャラリー 予約2500円 当日3000円
 ライブスケジュールは、内橋さんのHPへ!

*おまけ* 
内橋さんへのインタビュー、最終回です。 
ちょっと(だいぶですね。笑)間があいてしまいました。 
文字を起こしたり、構成は、最初に全三回分終わっていましたが、 
内橋さんのお父さんについての話を聞いた時、何かが引っかかりました。 
そして、昔クリッピングしていた、ある記事を思い出しました。 
ただ、私の個人的な感覚かもしれない、と時間を置いたのですが、 
時間が経っても変わらなかったので、笑 載せたいと思います。 
親子って、愛情と憎しみとあって、複雑で、小さくて、大きくて。
きっと、お父さん、心配だったんじゃないかな。
今の内橋さんの音楽を聞いたらどう思うかな?なんて思いました。

朝日新聞『おやじの背中』田中泯さんの記事。 
強烈な一文からはじまります。以下全文掲載します。 

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おやじの背中 ー事件現場で死教わったー 田中泯さん 

おやじの期待を圧倒的に裏切ってきたと思う。 
僕が踊りをやることを反対はしなかったけれど、 
「男のやる仕事なのか」とずっと言っていた。 
病院で聞いた最後の言葉も「男の仕事だな」だった。 
「はい、男がやるべき仕事です」と本気で答えたけれど
とても悲しかった。警視庁の刑事で、ほとんど家に帰って来なかった。 
弟は「父ちゃん」と甘えていたけれど、僕は「父さん」としか
呼べなくて、 おやじが死ぬまで敬語でした。
「あの人」と言った方がいいかもしれない。 
小学生の頃、何度か死体を見せられたことがあります。 
近くの河原で自殺死体が見つかると、僕を引っ張って連れていき、 
人垣の前に押し出して「見ろ」と言う。台風の後の水死体もあった。 
仕事柄たくさんの死を見てきて、人の死を僕に教えたかったのだと思う。 
怖かったけれど、これが人の体か、死んだ体なのかと、
僕は夢中で見てしまった。強く残っています。 
退職後は、自宅の庭で1畳ほどの小さな畑をつくっていました。 
両手で土をもみほぐす、その横顔を隣で見て 
「この人は、こういうことが好きなんだなあ」と思った。
農家の次男坊。 田中というくらいだから根っからの百姓なんでしょう。 
僕も踊りと農業をするため、85年に山梨に移りました。父を呼ぼうとも
思いましたが、直後に亡くなり、間に合わなかった。80歳でした。
こっちに来ていたら、もっと長生きしていたんじゃないかなと思う。 
小学校卒で、警視まで昇進しました。表彰状をいっぱいもらっていた
けれど、晩年には庭で、それらを燃やしていた。
「それ、賞状ですよね」と聞いたら、 「いらないんだよ」と。
黙って燃やしている横顔を覚えています。
賞状は額に入れず、丸めっぱなしだった。
肩書きなんてどうってことない、という人だったんだと思う。
こんな紙っぺら、とね。僕も同じ思いだったから、うれしかった。 
おやじはまさに肩書も勲章も必要ない、 
一人の人間として生きたかったんだろうと思います。 
(聞き手・中村真理子) 朝日新聞2009年7月26日日曜日掲載

*ひとこと* 
内橋和久さんへのインタビュー、今回もロングインタビューとなりました。
内橋さんは、素敵な仕事をたくさん重ねてきている方ですが、
音楽も、人間性も、とても柔軟な方で、ただ、その人が、そこにいます。
それはすごく大切なことですが、一番難しいことのような気もします。 
文字を起こしてから時間は経ちましたが、文章はそのままなのに、 
読む方の、私の感じ方は変わっていて、面白いなと思いました。
タイミングによって、受け取り方って変わりますね。不思議です。 

ぶれない人の言葉に、ぶれっぱなしの私は、いろいろ学びます。 
『今日のお相手』二人目のゲストを引き受けてくださった内橋さん、 
そして、ここまで読んでくれたみなさん、ありがとうございました。

今村沙緒里 

PROFILE 内橋和久 KAZUHISA UCHIHASHI
ギタリスト、コンポーザー。http://www.innocentrecord.com/
欧米で高い評価を得る即興バンド「アルタード・ステイツ」
(内橋:g、ナスノミツル:b、芳垣安洋:ds)のリーダー。
83年頃から即興を中心とした音楽に取り組み始め、国内外の
様々な音楽家と共演。劇団・維新派の 舞台音楽監督を25年
にわたり務めている。他にも宮本亜門「三文オペラ」「サロメ」
河原雅彦「時計仕掛けのオレンジ」の音楽監督も務める。
音楽家同士の交流、切磋琢磨を促す「場」を積極的に作り出し、
「フェスティヴァル・ビヨンド・イノセンス」(神戸、大阪)
も12年間継続。近年はUA、細野晴臣、 くるり、七尾旅人、
青葉市子などのポップミュージシャンとも積極的に交流する。
また、2002年から2007年までNPOビヨンド・イノセンスとして
大阪でオルタナティヴ・スペース Bridgeを運営。
ハンス・ライヒェル氏が発明した新楽器ダクソフォンの日本唯一
の演奏者。今年の6月に横浜でダクソフォンの日本初の展覧会を
開催。近年はインドネシアのバンドSENYAWAを始め、アジアの
ミュージシャンとのプロジェクトを積極的に進めている。
現在、ベルリン、東京を拠点に活躍している。

PROFILE 今村沙緒里 SAORI IMAMURA
俳優、インタビュアー。
オフィシャルウェブサイト http://saorix.jimdo.com/



		
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音楽家 内橋和久さん

弐              IMG_2693

 

音楽って、どういう風に作るんだろう?

ギターやダクソフォン
たくさんの種類の音や、楽器たち。

うたがある曲と、うたがない曲。

いろいろなリクエストや、制約。

内橋さんは、なにを考えて、
どんな風に向き合って、乗り越えて、
作っていくんだろう?

第二回は、
オリジナリティー溢れる音楽が作られていく秘密、
みたいなことを聞いてみたいと思います。

(普段の何気ない生活が大事だったりするのかもしれません、ね。)

第二回
自分にしかできないこと

今村 内橋さんが作曲している音楽で、
   「ぴこぴこ」みたいな、かわいい音が、
   よく入っているじゃないですか?
   (↑リンクのサイトで視聴できるので、きいてみてください。)

   あれはなんですかね?機械の音ですか?

内橋 いや、機械の音じゃないです。

   僕は基本的に、コンピューターでつくる時は、
   いわゆる既成の音源はあまり使わない。特にリズムパートはね。

   自分でいろいろな音を録音する。
   それを使ってリズムトラックを作ったりする。

   普通は、機械でつくる時って、
   ドラムやベースの音を入れていったりするけど、僕はやらない。
   ドラムの音源とかを一切使わない。

今村 じゃあ、ドラムの音がほしかったら?

内橋 なにかの音を代わりに使う。
   たとえば、コップの音とか、机の音とか。なんでもいい。

今村 本当の音?日常の音を使う?

内橋 そう。自分で録音した音を、色々な音の代わりに使ってる。
   「ぴこぴこ」音がしてるのは、時計のデジタルウォッチの音。

今村 すごい!秘密を知ってしまった感じです。

内橋 うん、みんな知らないと思う。

今村 面白いです!すごいこと教えてもらいました。

   わたしの印象では、内橋さんの音って、
   機械的なんだけど、懐かしいというか温かみがあって。
   
   ニュアンスが難しいんですけど・・
   かわいいけど、他と違う、チャーミングな音がして。

   「それは、なんなんだろう?」ってずっと思ってたんです。

内橋 僕は全部自分で録音して、サンプリングしたものを使ってる。

   だから、よくあるコンピューターミュージックに、
   聞こえないでしょ?

今村 はい、聞こえないです!
   
   「なんで他の人と違うんだろう?」って思ってました。

   じゃあ、その音達を使って、
   リズムやメロディーを作るのですか?

内橋 やりながら考える。面白い音を探す。
   
   メロディーには木の匂いのする楽器のサンプルを使うことも多い。
   例えばクラリネットや、木琴チェロ。 

今村 木琴チェロ!?面白そうです!聴いてみたいです。

   内橋さんの曲って、なんていうんでしょう。
   
   不思議だし、かわいい感じもあって。
   あと、おもちゃっぽいのかな。子供心というか。

内橋 僕ね、へんな音が好きなんだよ。

今村 あ、そうかもしれないです!

内橋 うん。だから自分が面白いなって思う音を作りたい。

今村 すごく分かります!
   "音楽"であり、"音たち"でもあるんですね。

   Daxophoneもそうですよね!面白い音ですよね。

内橋 うん、そうだね。音色が面白い。

   Daxophoneのサンプルの音もいっぱい入ってるよ。
   いろんなことに使う。

   だから、僕の音は再現が難しいんだけどね。笑

今村 なるほど。このやり方は昔からですか?
   なんで、このやり方になったんでしょうね?

内橋 普通の既成の音でやってもつまらないから。
   ありきたりなものしかできない。

   ドラムの音を入れるんだったら、
   ドラムの人に頼んだ方がいい音でしょ。
   機械にドラムの音を入れても面白くない。

   もし、機械でやるんだったら、
   「機械でしかできない音を作った方がいい」と思うしね。

   今、なんでああいうものが流行っちゃったか?っていうと、
   経費節減なんだよ。ミュージシャンを呼ぶお金がないから。
   代わりに音源だけ使って、それっぽいことをやる。

   でも、人に頼めないから既成音源を使うしかないって方法なら、
   すごく情けないし、豊かじゃないと思うんだ。

   だったら、機械でしかできないこと、
   「自分にしかできないことをやった方がいい」と思う。

今村 すごく、よく分かります。

内橋 うん。それで、いろいろな音を録音して集めた。
   その集めたものを、いろいろな場面で使ってる。

今村 はい。
   わたしの内橋さんの印象って、
   もちろん素晴らしい音楽家だと思っています。

   でもそれプラス、一緒に『言葉と音の実験室』もやる時でも、
   すごく"アイデアの人"というか、"工夫する方"だなって思っていて。

   いろいろな状況や制約がある中で、
   臨機応変に、いつも対応されるじゃないですか。 
   リハーサルしながら「ちょっと違うね。じゃあ、こうしようか?」
   みたいなことを、すごくフェアに、穏やかに、行いますよね。

   そこが頼りになるし、器が大きい方だなって思います。
   とにかくワクワクする方向に向かう。子供みたいに。
   ジャンプする発想もあって。・・褒め過ぎました。笑
 
   その時、思いついた音をだしてます?

内橋 笑 ありがとう。

   うん、基本はそう。
   だから「さぁ作ろう」って思うまでは、何もやらない。
   
   はじめから計画性をもって、ここはこうやって、こうして・・
   とか考えてから、はじめたことは一度もない。
   
   とりあえず、いろいろな音をだしてみて、
   「これ!」って思った音から始める。そこで、決める。

   そうやって作りはじめて、「じゃあ、次はどの音いれよう?」
   って、いろいろ試していく。行き当たりばったりなんだよ。

今村 それが、音楽の即興の時にも、生きてるんでしょうね。
   "身体の中からうまれる感じ"が。

内橋 うん。たぶん、ずっとそうやってきてるんだろうね。
   その時、生まれたものがすべて。

   「その時、自分から何が出てくるのか?」

   だから、それまでに自分の中でいろいろ反芻する。考える。
   
   芝居の音楽の場合は、特にいろいろなこと考えて、イメージする。
   情報も含め、自分の中で"アイデア"や"イメージ"をあたためておく。

   そうすると、頭の中で変わってくるんだよ。
   
   こういうのがいいかな、違う方かな、とか。
   変わっていって、そろそろ熟したなって頃に、スタートする。
   音楽を作りはじめる。だから、僕はね、すごく時間がかかる。

今村 そうなんですね。
   その時、ぱっと浮かんでるようにみえて、
   ずっと考えてきたものの、変化や蓄積が、出てるんですね?

内橋 そう。ずっと考えてる。
   でも、やらない。

   手をつけないで、頭の中でどんどん反芻させて、変わっていって。
   "試行錯誤"したものが、音楽を作り出すときにポンとあらわれる。

   考えるのをやっておかないと、ぶれちゃう。
   "音楽を作りはじめてから試行錯誤するのは大変"だから。

今村 その方法は、やっていくうちにそうなったんですか?

内橋 うん、そのやり方が自分には一番向いてるかなって。

今村 じゃあ、たとえば、維新派の音楽をつくる時も、
   台本を読んで、イメージして、熟成させて、
   そろそろやるか!って感じですか?

内橋 うん。でも台本は読んですぐやるかな。インスピレーション。
     
   ただ、維新派に関しては、まず松本さん(演出家 松本雄吉さん)
   と話すのが最初。作品のイメージの話とか、雑談も含めて。

今村 面と向かって話すんですね?

内橋 そう。

   いま何を思ってる、こんなことをやりたいとか、
   そういう話をお互いにする。
   話をして、それをずっと頭の中で反芻して、
   全体のイメージ像を熟成させる。

   それでつくり出す。つくり出したら、わりとすぐ出来上がる。

今村 演出家と話すことからはじまるんですね。

   その中で、もし、内橋さんがつくった曲と、
   演出家のイメージがちょっと合わなかった時は?

内橋 "ズレ"があるってことだから、
   そのズレが「どんなものなのか?」を認識する。

   で、そのズレを一方的に演出家に合わせるのではなくて、
   ちゃんとズレがなくなるものを、
   「自分の中から出す」。そこまで持っていく。

   相手にこういうものって言われたら、僕はそのまま作らない。
   
   相手に寄っかかるんじゃなくて、
   「相手のこういうもの」のイメージを、
   「自分の中のこういうもの」として、提示したい。

今村 面白いですね!
   
   自分が思っていたものとちょっと違うけれど、
   「それもいいね!」って感覚で成立する。

   "新しい発見"になりますね。

内橋 そう。
   だから、相手の期待通りのものじゃないかもしれないけど・・

今村 予想通りではないですよね。

   でも「予想するいいもの」とは違う角度の、
   「新しいいいもの」が出来上がる。

   それはきっと演出家にとって、
   新しいシーンや幅が広がるんじゃないですかね。

内橋 相手が納得する形までもっていきたいなと思ってます。笑

   そうやらないとね、自分がズレる、ブレちゃう。

   最初からつくっていった中で、自分の中で一本筋があるから。

   相手に寄りかかっちゃうと、ぶれて、変な歪みもできる。
   「いいもの」が作れなくなる。

今村 はい。すごく分かります。

   最初につくったものって、なんだかんだ、大事じゃないですか。
   そこを否定されるとちょっと傷つきますよね。仕方ないのですが。
   
   その時に、やっぱり内橋さんは「受け入れる」んだと思います。

   だからこそ、新しい「いいもの」が出来るのかなって思いました。

   わたしにとって、新しい、面白いもの、
   『Daxophone ダクソフォン』についても、ききたいです。
   きっと、知らない方も多いと思います。
   個展、とても面白かったです!

   『ダクソフォン』とは、なんでしょう?

    IMG_1726 

内橋 木からできてる楽器です。
   
   つくったのは、音楽家、デザイナーでもある、
   ドイツ人のハンス・ライヒェル。
   (ハンス・ライヒェルさん 公式サイト)
   
   名前の由来は、ダックス、DACHS、
   ドイツ語で、"アナグマ"っていう意味。
   「アナグマの声が多彩だ!」
   ってハンスが思ったところからつけたみたい。

   あと"Sax サクソフォン"ともかけてて。
   フォンっていうのは、楽器本体が共鳴している楽器のこと。
   ギターだと、弦の振動を伝えて鳴ってるからそれ自体でない。
   ピアノも。フォンは、木そのものの振動。

今村 アナグマからだったんですね!

   ダクソフォンの音って不思議で、動物や人間の声みたいですし、
   森や自然の中にいるような、世界がぱっ!と広がる感じがします。

   ハンスさんとの最初の出逢いはいつですか?

内橋 1990年に、ハンスが日本にツアーで来た時に出逢った。

   「面白い演奏家がツアーで神戸に来る!」って言われて。
   コンサートを引き受けた人が、一緒にやりませんか?って。

今村 じゃあ、その提案してくれた方に感謝ですね。

内橋 そうだね。
   ライブも面白かったし、すごく気が合った。

   その時、彼が帰る前にもう一度一緒に演奏して。プライベートで。
   その録音はCDになってる。

今村 そうなんですね!
   気も合っちゃったんですね。

内橋 そう。気も合った。大事なこと。
   それから、ドイツに呼んでくれたり。もう20数年前だね。

今村 内橋さんは、いつからダクソフォンを演奏しているんですか?

内橋 1997年から。

今村 なんで、演奏するようになったんですか?

内橋 あの楽器にずっと興味を持っていたし、
   彼の家でもずっと弾いていて。

   それで彼が日本に来た時に、
   「まだやりたい?」って聞かれて。
   「やりたい」って言ったら、
   ドイツに帰った後に楽器を送ってくれた。

今村 2人で一緒に演奏したのはいつですか?

内橋 それから3年後くらいかな。

今村 けっこうあきますね。

内橋 うん。僕が練習しなきゃいけないし。

今村 練習好きじゃないんですよね?笑

内橋 だって練習しないと、弾けないから。笑
   でも、家では練習しないんだよ。

今村 え!どこでするんですか?

内橋 ライブで。

今村 本番で!?

内橋 そう。
   下手くそな時もライブで弾いてたの。本番で練習を重ねた。

今村 すごいですねー。それこそ実験ですね!

内橋 そう、実験。3年間ずっと。

今村 はじめて一緒に演奏した時はどうでした?

内橋 スイスで3人で演奏した。
   3人ともギタリストで、すごく面白かった。

今村 個展でも飾られていましたが、
   ハンスさんの家にタングがいっぱいあったんですよね?

  IMG_1717

内橋 そう。僕が家に行く度に、壁からとって、弾いてた。

   すごく気に入ったのがあると、
   「譲ってくれ」って言うんだけど、
   ダメなものは「ダメ」って言われて。笑

今村 かわいいやりとり、ですね。笑
   ハンスさんは、どんなものを気に入っていたんですか?

内橋 デザインだね。デザイナーでもあったから。
   あとは貴重な木でできてる、とか。

今村 デザインもかわいいですもんね。
   動物の形や、鳥とか、すごくかわいいです。

   基本はタングはハンスさんのもので、
   今ダクソフォン奏者の方は、
   世界で5人いらっしゃるんですよね?

   その方々はタングは自分で作られてるんですか?

内橋 ハンスのものをもらったり、自分でも作ってる。
   この間の個展で展示されたタングは、
   ハンスのもので、全部で320本くらいあったね。

今村 すごい数でした!そして1本1本、音も違いますよね。
   ワークショップで弾かせてもらった時に感動しました!

内橋 うん。面白かったでしょ?
   子供やいろいろな人にも、弾いてみてほしいと思ってます。
   
   今まではないけど、5人でも演奏をやりたい。
   そういう機会があればいいね。

今村 ぜひ、やってほしいです!
   ダクソフォンの楽器を知らない人もいっぱいいますよね?

内橋 いっぱいいるよ。ほとんど知らないんじゃない?
   
   なんでもそうだけど、
   自分のいる世界のこと以外って、知らないこと多いからね。

今村 はい。知ってほしいですね。色々な人に。
   素晴らしい個展だったので、
   また、ぜひ、どこかでやってほしいです。

   あと、ダクソフォンオーケストラも、
   いつか実現してほしいです!

内橋 やりたいね。
   
今村 はい。お芝居や映画、いろいろなところでも聴きたいです!
   
   とても魅力的な楽器、音で、わくわくします。

   あと、記憶につながるというか・・
   いろいろな想像力が広がる気がします。

   さっき、作曲する前にいろいろ反芻する、想像するって、
   おっしゃってましたけど、
   内橋さんは、曲を作り始めたら早いですよね?

内橋 うん。
   作り始めたら、めちゃめちゃ早い。

今村 それは、考えて、熟成してるあいだは、
   普通の生活をしてるってことですか?

内橋 そう。

今村 人に会ったり、出掛けたり、家にいたり。
   いろいろなものが糧になって、音楽になってるってことですよね?

内橋 そう。結果的にそうなってる。

   僕ね、無駄な時間が好きなの。
   実際には、無駄な時間なんてないんだけどね。

今村 分かります。
   わたしもぼーっとしてる時間好きです。回り道とか。

内橋 そう。すっごく無駄な時間が好きで。
   人によっては、時間がもったいないから、
   全ての時間を有意義にしたいって人もいるけど。

   ただ横になってたり、ドラマとか映画をみながら、
   1日中ぼーっとしてるってことが、必要だと思ってて。

   すべてが緊迫してると、しんどい。

今村 今も、昔も、生活の中で、
   音楽を作る時間は、少ないんですか?

内橋 うん。少ないね。
   演奏してる時も、その時間だけ。

今村 生活の中で、音楽の時間に、
   縛られてないのかもしれませんね。

   だから続けられるのかも?

内橋 全然縛られてないね。縛られたくないし。

今村 縛られてる人って多いと思います。
   ずっと考えてる、作曲してる、練習してるって。

   それが、ずっと、毎日続くと、
   好きだったものがやめたくなっちゃったり。
   とらわれちゃう、というか。

内橋 やらされてるとね。
   自分から、じゃなくて。

今村 はい。でもそれは、いろいろな仕事もそうだと思います。
   
   制約や課題がある中で「自分の中から出てくるか」どうか。

   あとは、やっぱり内橋さんは作曲するのが早いんだと思います。
   作り始めてから、作り終わるまでが。特別に。

   才能があるんだと思います・・なんか上からですけど。笑

内橋 上からだね。笑 
   自分で言っちゃったね。

今村 笑 はい。すみません。

   いえ、才能があるってこういう人なんだなって思いました。
   あんまり"才能"って言葉自体を、普段使うことがないので。

   あと、"楽しむ才能"もかもしれませんね。

内橋 うん。だって、楽しむためにやってるんだから。笑

今村 あ、そうですよね。笑
   でも、それを忘れちゃうことって、多いと思います。

内橋 だから、性格は大事なんです!笑

今村 はい。性格って大事ですよね・・笑

内橋 うん、大事。
   あんまり変えられないからね。

   昔、悩んでる人がいっぱいいて、相談されたりしたけど、
   性格的に考え過ぎちゃう人には
   「向いてないよ」って言ってた。

   結局、悩み過ぎちゃって、進まない。

今村 はい。
   だれでも悩みますし、それは仕方ないことですけど・・

内橋 そう。楽しめるかどうか。
   だから『愛すべきバカ』が大切なんです。

今村 分かる気がします。笑

内橋 直感で、会った時にわかるしね。

今村 なんとなく、分かりますね。
   
内橋 だいたい合ってるんだよ。

今村 はい。直感って当たりますよね。
   特に、感覚的に生きてる人。

内橋 うん、そう。

今村 わたしは、誰かと初めて会った時の第一印象から、
   その人の印象って、変わらないことが多くて。

   違う面や、意外な面を発見することはあるんですけど、
   だいたい一緒なんです。

   最初にいいなって思う人は、けっこうずっと好きです。
   
   でも第一印象や直感を信じないっていう人ももちろんいます。
   私の友人にもいて。いろいろな人がいるなって。

内橋 その友達は、男でしょ?

今村 あ、そうです!

内橋 男は論理的なんだよ。

   女の人は感覚的な人が多いと思う。
   男の弱点で、頭でまず考えようとするんだよ。

今村 たしかに。そうかもしれません。

   男性は論理的で、女性は感覚的。

   内橋さんは、両方の感覚があるんですかね?

内橋 どうなんだろう?

   僕も理屈や論理で考えるところもあるけど、
   でも、それを良いと思ってないから。

今村 男と女、面白いですね。笑
   
   でも、人って、どんな人間なのかって出ちゃいますよね。

内橋 そうだよ。
   だから、素直な人がいいんだよ。

今村 はい。分かります。

   「本当はどう思ってるんだろう?」っていう、
   相手への信頼があるかどうか、って大事な気がします。   

   本心で向き合えると、一歩先に向かえますよね。

内橋 うん。そうだと思う。

   結局、その人がどう思ってるか、どんな人かって、
   音楽や芝居や、表現に表れちゃうんだよね。

今村 はい。人間性とつながってますよね。

   男と女、性格、人間性・・
   なんだか深い?プライベートな話になってきました。

   つづく

*お知らせ
 10月11日から維新派の公演「透視図」がはじまります!
 内橋さんは、全曲作曲・演奏で参加されます。(〜28日)
 10年ぶりの大阪野外公演だそうです!ぜひ、お楽しみに!

*ひとこと
 読んでくださってありがとうございます。
 インドネシアから来日していたSENYAWAさんとのライブに行ってきました!
 すごかったです。みたことがない、聴いたことがない!
 終わった後のお客さんの高揚感、会場の温度が上がる感じが好きです。
 一緒に体感、体験できることって、貴重なことだなって思います。

 自分にしかできないこと、自分なりの答えを見つけること。
 仕事、生活の上でとても大切なことだと思いました。またまた勉強です。
 今年もあと3ヶ月。芸術の秋、実りの秋を過ごされますように。
 内橋さんへのインタビューは次回が最終回です。お楽しみに*今村沙緒里

PROFILE 内橋和久 KAZUHISA UCHIHASHI
ギタリスト、コンポーザー。http://www.innocentrecord.com/
欧米で高い評価を得る即興バンド「アルタード・ステイツ」
(内橋:g、ナスノミツル:b、芳垣安洋:ds)のリーダー。
83年頃から即興を中心とした音楽に取り組み始め、国内外の
様々な音楽家と共演。劇団・維新派の 舞台音楽監督を25年
にわたり務めている。他にも宮本亜門「三文オペラ」「サロメ」
河原雅彦「時計仕掛けのオレンジ」の音楽監督も務める。
音楽家同士の交流、切磋琢磨を促す「場」を積極的に作り出し、
「フェスティヴァル・ビヨンド・イノセンス」(神戸、大阪)
も12年間継続。近年はUA、細野晴臣、 くるり、七尾旅人、
青葉市子などのポップミュージシャンとも積極的に交流する。
また、2002年から2007年までNPOビヨンド・イノセンスとして
大阪でオルタナティヴ・スペース Bridgeを運営。
ハンス・ライヒェル氏が発明した新楽器ダクソフォンの日本唯一
の演奏者。今年の6月に横浜でダクソフォンの日本初の展覧会を
開催。近年はインドネシアのバンドSENYAWAを始め、アジアの
ミュージシャンとのプロジェクトを積極的に進めている。
現在、ベルリン、東京を拠点に活躍している。

PROFILE 今村沙緒里 SAORI IMAMURA
俳優、インタビュアー。
オフィシャルウェブサイト http://saorix.jimdo.com/

音楽家 内橋和久さん

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音楽家って、なんだろう?

音楽を演奏したり、うたを歌ったり、作曲したり・・

内橋和久さんは、音楽家だけど、
なんだかスペシャルです。

音楽と共に、生きてる人。

わたしが内橋和久さんと初めて出会ったのは、
2013年の『レミング』という舞台でした。

運良く選んでいただき、
オリジナル曲のイメージにといただいたメールが、
『Cut the World』のMV で、とても刺激的でした。

(ひょえー!って思いました。笑)

でも、すっごく、楽しみでした。

『レミング』の公演、『言葉と音の実験室』
一緒につくっていくうちにいろいろなことが見えてきました。

音楽も、人間性も、とても柔軟で、幅広い。
多面的な方です。

プロフェッショナルだけど、ナチュラル。

ギタリストであり、作曲家であり、
日本唯一のダクソフォン奏者でもある内橋和久さん。

内橋さんは、いま、なにを考えてるんだろう?

(2014年6月11日 入谷のカフェにて)

 

第一回 
ただ、その人が、そこにいる

今村 音楽を始めたのは、いつからですか?

内橋 中学から。他にやりたいことがなかったから、
   ずっとやってきて、そのまま。
   軽音楽部をつくった。
   
今村 内橋さんが、部長ですか?

内橋 いや、部長とか、そういうのはなくて。
   勝手につくって、教室に集まって。

今村 その時は、コピーバンドですか?
   
内橋 うん。

   キャロルとか、チューリップとか。
   ビートルズもやってたよ。

今村 いいですね!
   編成は?ギターと、ドラムと・・

内橋 その時、いたメンバーだから、けっこうまちまち。

今村 すでに即興チームみたいですね。
   文化祭で、発表したり?

内橋 そう、そう。

今村 ボーカルは、別ですか?

内橋 ボーカルもやってた。

今村 え!内橋さんが、ボーカルもやってたんですか?

内橋 うん。笑 
   
   中学から高校1年くらいまで。
   かぐや姫とか、吉田拓郎とか。フォーク。

今村 あの時代のフォーク、いいですよね。
   吉田拓郎さん、好きです。

内橋 うん。1人で弾き語りしてた。
   
   でも、「下手くそ」って言われてやめた。

今村 !それは、誰に言われたんですか?

内橋 お客さん。
   
   違う、アンケートに書いてあったんだ!笑

今村 ショックですね・・。笑

内橋 きついよね。 笑
   
   そのアンケートを読んで、
   「あれ?だめなんだ!」って思った。
   自分が楽しくて、気持ちいいだけだった。
   
   客観的にみれてなかった。

   その時に、うたは辞めてギター1本にしようって思った。

今村 知らなかったです。そんなことがあったんですね。
   
   バンドで演奏してたのは、うたものですか?

内橋 いや、インストだよ。
   (*インスト:うたなしで音のみ インストゥルメント)
   
   でも、当時は、インストってあまりなくて。

今村 インストのジャンルは、どうやって知ったんですか?

内橋 ジェフ・ベックっていうギタリストが、
   『Blow by blow』っていう、インストのアルバムを出して。

   ギターのインストがあるんだ!って衝撃だった。    
   
   「なんて美しい音楽をギターでつくれるんだろう?」って。
   トーンから、音色から、見事。ぜんぶ美しかった。
   ずっと、バイブルみたいな感じ。 

   それを、コピーバンドでやってた。 
   4.5年前にも完コピ(完全コピー)ライブをしたよ。 
   難しかったけど。

今村 どうして難しかったんですか? 

内橋 難しいというか、再現が大変なんだよ。    
   表現が細かいから、難しい。
   音のひとつのタッチ、ニュアンスから。    

   アルタードステイツのバンドでやったんだけど。

今村 いいですね!最近はやらないんですか?

内橋 やりたいけど、かなりハードルが高いから。    
   練習をすごくしなくちゃいけない。
   そのために、恐ろしい時間をとられるんだよ。笑 

今村 昨年、ECMをライブでやってましたよね。    
   すっごくよかったです! 

内橋 うん。あれは、カバー企画。    
   完コピじゃないんだ。オマージュでね。 

   ロックはオマージュではできない。    

   あまりにも緻密にできてるから他のものだとできない。
   全てが完成している。演奏自体の。    
   コピーしたいと思うようなバンドのは。  

   この企画をなんでやろうと思ったかと言うと、
   僕は、すごく影響を受けたから。
    
   色々な意味で、自分の今までやってきた中に、
   残ってる。それが、今の表現にも繋がってる。    

   そこまで自分に影響を与えてくれたもの、
   しあわせにしてくれたものを、
   若い人たちはあまり知らないし、
   リアルタイムで聴いていない。    

   それを僕らのフィルターを通して、
   「生で聴く」っていう体験をしてほしい。
   
   自分達流にデフォルメするのではなく、そのまま再現する。
   僕らが受けた感動を、なるべく同じように、
   体験できる機会があればいいなって。    

   「こんなにもすごいのがあるんだよ!」って。    

   だから完コピしなきゃいけないんだよ。
   そのための、完コピ。 

今村 はい。すごく、いいことだと思います。    
   音楽や、若者、いろいろなものへの愛情を感じます。 

   でも、"完コピ"って言葉があんまりよくない気がして・・    
   
   そんなに素敵な思いがあるのに、
   ちょっとマイナスな感じがします。
    
内橋 そうなんだよ。軽くとられちゃう。
   "コピー"だとアマチュアバンドと一緒だし。
   
   僕らが伝えたいのは、その精神なんだよ。 

   でも、観に来た人はきっとわかるかな。
   ただのコピーじゃないって。伝わると思うから。 

   ライブを聴いてそのレコードを買いに行ってほしい。
   でもいっぱいいたよ、そういう人。すごく嬉しかった。

今村 はい。素敵だと思います。

   ぜひ、たくさんの人に聴いてほしいですし、
   大変でしょうが、またライブもやってほしいです!   

   ・・もっといい言葉ないかな?気になってます。笑    
   思いついた人、教えてほしいです! 

   ジェフ・ベックのアルバムでインストに目覚めて・・

内橋 一番影響を受けたのは、サンタナかな。    
   
   サンタナジェフ・ベックは真逆なんだよ。    
   ジェフ・ベックはかなりテクニカルなギタリストで、
   天才で、すごくセンスがいい。    

   サンタナは、すごくパッションがある。魂で弾く。    

   「どっちが好き?」って聞かれたら、両方好きだけど、
   精神的に影響を受けたのは、サンタナかな。    

   「自分から発するっていう意味はなんなのか?」
    
   それを僕はあの人を通して考えたし、学んだと思う。
   生き方、とか。 

今村 サンタナのパッションと、ジェフ・ベックのテクニカル、    
   両方を備えられたら、もっと、いいんですかね? 

内橋 うーん。両方あればいいけど・・
   
   技術っていうのは変なもので、       
   みんなが同じようなテクニック、技術を、
   必要とはしていないと思うんだよね。 

   技術はあくまでも、技術だから。        

   たとえば、上手に、早く、弾ける人はいっぱいいる。
   若者にしても、僕より上手な人はいくらでもいると思う。    
   
   でも、そこじゃないと思う。それだけじゃ音楽はできない。    

   もし、技術がすごいんだったら、
   誰もこの人にはかないません!ってくらい技術があれば、
   それは、技術だけじゃなくて、個性にもなると思う。

   でも、そうじゃなかったら、個性にはならない。

   上手い、下手っていうのも、難しいよね。    
   上手ければいいってわけじゃないし、    
   でも、下手でもいいわけじゃない。    

   自分が表現したいもののために、
   もっと技術が必要だと思うなら、たくさん練習する。       

   「自分が表現したいことが出来る技術が、大事」

今村 はい、すごく分かります。

   やっぱり、パッションや、精神って、大事ですよね。
   それは音楽だけじゃなくて、俳優も一緒だと思います。

   人によって考え方は違うと思いますが、わたしはそう思います。
   もちろん、技術も大事ですけど、そこから溢れ出すものというか、
   「その人から出てくるもの」に、魅かれます。

内橋 うん。僕もそう。
   
   自分の中から発することが大切。

今村 はい。

   内橋さんは、いろいろなものに対して受け入れますよね。
   とても寛容だと思います。あんまり否定しない。

内橋 うん。
   たまにするけど。笑

今村 でも、それはいい、わるいっていうんじゃなくて、
   好きじゃない時じゃないですか?

   内橋さんがやる、即興のライブの時も、
   相手のミュージシャンの方が出してくるものに対して、
   「うん?なにそれ?」みたいな否定的な感じは、
   一切ないというか。

内橋 あぁ、それはそうだね。

   それは昔ね、一緒にやる相手に対して、
   「なんでそっちにいくの?こっちにきてよ」
   とか思ったこともあって。

   でもそれって、エゴでしょ。

今村 そうですね。

内橋 「どこにいきたいか?」
   ってことがはっきり決まってるんだよね。決めちゃってる。

   自分がいきたい先に、人を巻き込もうとしてる。
   そこで「そっちは違うよ!」って言っちゃうと、
   もう成立しなくなっちゃうんだよね。

今村 なるほど。そうですね。

   内橋さんもそうやって考えた時期もあるんですね。

内橋 あるよ。即興について色々考えてたよ。

   それで、先を決めちゃうのは違うなって思った。

   それを一番最初に思ったのは、
   デレク・ベイリーっていうイギリスのギタリストがいて、
   即興のギタリストで即興をはじめたパイオニアなんだけど。

   彼と一緒にやった時に、なんかその彼は、
   「全部、俺は好きなことやるから、お前も好きなことやって!」
   って感じだった。

   最初に、彼が他の人とやってるのを聴いた時に、
   彼1人でやってる感じがしたの。
   あんまり人の音を聴いてないのかなって。

   でも一緒にやってみて思ったのは、
   「この人はすごい聴いてるなって。」

今村 相手と、音を。

内橋 そう。

   "聴いてること"と"聴いて!"っていうのは、別。

   「こうきたらこうでしょ?」みたいなことをやるのが、
    "聴いてる"っていうことだと思ってた時期があって。

   でも、彼と一緒にやってみて、
   「相手をちゃんと聴ききながら自分のことをやってる」
    って思った。すごいなって。

   そうすると、すごくいろいろなことが見えてきて。

   「相手のやることを全部、受け入れること」

今村 そういう体験があったんですね。

   相手の全部を、受け入れる。

内橋 うん。否定しない。

   相手に好きなことをやってほしい、
   僕も好きなことをやるから、って。

   でも、お互いを聴き合うっていうのは、前提だよ。

   だけど、全部聴いてますよっていう合わせ方じゃないから、
   分かりにくいんだけどね。いかにもじゃないから。

   それに気がついた時に、
   「この人はプロだな、すごいな」って思った。

今村 それはいつ頃ですか?

内橋 だいぶ前だな。20年くらい前かな。

今村 衝撃でした?

内橋 うーん、衝撃かな。

   うすうす感づいてはいたんだけど、それを体験した!
   それを自分で体験できたのはよかったと思う。
   こういう成立の仕方というか、懐の深さ、を。

   でも、即興をやってる人って、けっこういっぱいいるけど、
   あんな風に即興をやる人は、たくさんいるわけではない。

今村 即興って、なんでしょう?

内橋 僕にとって『即興』ってなにかっていうと、

   まず、相手を全部受け入れて、相手を解放して、
   相手を自由にしてあげて、自分も自由になる。

   絶対、限定してはいけない。
   
   こうやってこうやろう!って決めつけてやるものではない。
   それは音楽家同士だけじゃなくて、どんなジャンルでも。

   だから、相手はとても大事。選ぶことも、大事。

   その上で、相手を信頼する。
   お互い、自由に好きなことをやって、
   その時間、そこにいる。

   「ただ、その人が、そこにいること。」

今村 たしかに、内橋さんて、
   「そこに、いる」って感じがします。

内橋 うん。
   「そこに、いる」ってことはすごく大事なことなんだよ。

   それが、"そこにいる意味"だと思う。すごく、リアル。

   即興を一緒にやって、なにがいいって、
   自分が今まで感じたことのないような感覚になれたら、嬉しい。

   それは自分1人じゃいけないところに、
   その人と一緒にやれたことで、いけるから。

   そういう時は、「あぁ、今日はよかったな」って思う。
   その人のお陰で連れてってもらえたし、一緒にいけたから。
   そこにいこうとして、計算していけるものではないし、
   同じことはできないから。特別な体験。

   即興をやっていると、そういう瞬間がある。

   どちらか片方が解放されるってことは、ありえない。
   お互いだから。ただ、残念だけどそういう場合もあるけど。

今村 そう考えると、未知で、特別な時間ですね。

内橋 そう。同じことをできないしね。
   感覚をオープンにしておかないと、次に進めない。

今村 やっぱり、オープンな人が多いんですか?

内橋 うん、そうだね。

今村 お互いを受け入れないと、うまれないですもんね。

内橋 うん。1番最悪な場合は、
   相手が、全部自分についてくる場合。

今村 なるほど。でもそういう時もありますよね?

内橋 あるよ。すごく、ある。
   そういう時は、僕はどんどん離れるよ。

今村 来ないで、ってことですよね?

内橋 そう。
   でも、離れても離れても、くっついてくる。

   自分のやってることしか見えてないなって。

   もっと違うものを見たいのに、ずっと同じ。
   人に乗ってくるだけ。

   なんで僕だけ、こんなにやらなきゃいけないの?って。

   でもそのかわり、そういう人と一緒にやるのは、
   逆の意味ではすごく簡単。
   こっちがやる方向に、全部転がっていくから簡単。
   でも、つまらない。楽すぎて嫌だよ。

今村 はい。
   でも、すごいですよね。
   そういうやりとりが、毎回ライブで起こるっていうことが。

内橋 だから、続けてるんだと思うよ。

   毎回特別な時間になるように、いつも思う。
   でも、ダメな時もある。

   お客さんの前で演奏してるから、
   恥ずかしいものは見せられない。
   その時は、僕は無理矢理突っ走ってしまう。

   その人に合わせたら僕も潰れちゃうから。

   相手はついてくるしかなくなるけど、仕方ない。

   お客さんに対して恥ずかしいものは見せられないから。
   あとで、すごく疲れるけどね。

   でもそうやって、それでも食らいついてきて、   
   どんどん追っかけて、離れても食らいつく人をみると、
   悪い気はしない。
   
   僕も昔、そうだったから。

   すごいな、って思う人と一緒にやった時、
   僕はついていくのだけで精一杯だったから。

   その人に、どうやって応えていいのか分からなかった。
   ただ、がむしゃらにやったりもあった。
   その時の自分は、それしか考えられなかった。

   音楽としては、すごくダメなことなのかもしれないけど、
   その人に対して、その時は僕の中からそれしか出てこなかった。

今村 そのすごい相手と、
   その後に、一緒にやったりしました?

内橋 うん。一緒にやったこともある。

今村 自分が変わったなって思いました?
   楽しめるようになりました?

内橋 うん。ちょっと余裕がでてきて、
   楽しめるようになったり。
   昔は、圧倒されて終わってたからね。

今村 相手は気付いてるんですかね?

内橋 相手はね、その時すっごい喜んでた。

今村 え、それは一番最初の時ですか?

内橋 そう。一番最初。
   僕がすごく立ち向かっていったことに、喜んでた。

今村 それは、嬉しいですね。

内橋 うん、そういうことなんだよね。
   音楽的にどうのってことじゃなくて、
   もっと、パッションというか。

今村 はい。
   "人と、人"として。

内橋 そう。
   "人と、人の関係"、表現者としての、ね。

今村 やっぱり相手も感じたんですね。
   影響を受け与え合ってたってことですよね。

   ・・内橋さんにもそういう時代があったんですね。

内橋 あるよ。笑

今村 笑 誰にでもあると思いますけど、
   意外と想像できないというか。

   たまに、昔からすごい人っているじゃないですか?

内橋 昔からすごくて、まだすごいって人、いるかな?

今村 少ないかもしれないけど、いると思います。

内橋 あ、いるね。

今村 はい。昔からすごくて、今もずーっと変化し続ける人。

   わたしは、どんな仕事でも、みんな大変な時期って、
   あるんじゃないかなって思います。
   基本、大変なこと多いですけど。

   それでも、昔から才能があった!
   っていう人もいると思うんです。
   内橋さんはそういう感じの人かな?って思ってました。

   本人に聞くことじゃないですね。笑
  
内橋 はじめなんて、ひどかったから。笑
   よくこんなものを人に聴かせてたなって思うのもある。

今村 あ、フォークソング、唄ってた時ですね。爆笑

内橋 それは別の話ね。爆笑
   ありますよ、いろいろ。

今村 そんな時は、
   あの人みたいになりたい、って思ったりしてがんばったんですか?

内橋 誰みたいになりたい、って思ったことはない。

今村 じゃあ、どうするんですか?
   すごい人とやって、落ち込んだ時は。

内橋 「自分らしいことでその人と一緒にやらなきゃいけないな」
   って、学んだ。

今村 自分の中から出てくるものを探す?

内橋 そう。
   弾かされちゃってる、やらされてるのは、だめ。
   
   自分としても不本意だし、"エネルギー"がないんだよ。
   自分の中にそこまでの"パワー"がない、ってこと。

   だから、相手に引きずられて弾かされちゃう。

   そうじゃなくて、"自分のエネルギー"でそこまでいかなきゃ。
   そこの差は、すごく大事。
   そこに気付いたり、感じることが、できた。

今村 なるほど。勉強になります。

   エネルギー、パワー、情熱、
   それが最初にでてきた"パッション"ってことですもんね。
   
   他の人と比べたりはしなかったんですね?

内橋 僕ね、うまくなりたいって思ったことないんだよ。

   もちろん、多少はあるけど、はじめた時くらいかな。
   ジャズとか色々聴いてたし。自由なものが多かった。
   それを思っても、「仕方ないな」って思ったから。

今村 気付くタイミング、早いですね!

内橋 そうかな。

今村 早いと思います。

   うまくなりたいとか、人と比べてしまうことって、
   多いと思います。仕事でも、日々の中でも。
   
   あの人はいいな、とか、あんな仕事してる、とか。
   羨ましい、いいなって、嫉妬ってやつですかね。

   内橋さんってそういう感覚が、あんまりないですよね。

内橋 もちろん、いい仕事をしたいなとは思うけど、
   仕方ないじゃん、って思う。

   がんばって仕事をとるとか、媚びるとか、
   そういうことじゃないと思うんだよ。

   「僕にしかできないことをやりたい」って思う。

   それで、「僕にしかできないことを求めてくれる人」がいたら、
   嬉しいなって思う。出会いたいなって、思う。

今村 はい。すごく気持ち分かります。

   どんな仕事にも、共通するような大切なことだと思います。

つづく

*お知らせ*
アジアから初来日のSENYAWAさんとジャパンツアー中!(〜9月6日)
東京公演は本日3日と4日、秋葉原グッドマンにて。詳細はHPへ。
ISSEY MIYAKE 秋の「Rhythmatic Forest」にて音楽を担当!
銀座、青山、神戸店は4日から。「森」の世界、楽しみです。

*ひとこと*
読んでくださってありがとうございます。
内橋さんへのインタビューを行ったのは6月でした。季節は秋へ。
今回から少し短くするつもりが、文字を起こしたらまさかの3万字!
びっくりしました。笑(松江さんの時は2万字でした。笑)
内橋さんの言葉はそのままですが、選択と構成に時間がかかりました。
でも、こうして読みかえすと、私自身もすごく勉強になります。
この『今日のお相手』も、だれかの、なにかの、ヒントになればいいな
って思いながら、ゲストの方に敬意を払いながら「こんなに面白い人がいる
んだよ!」ってご紹介していきたいなって思います。更新を待ってくれてる
方がいるようで、とても嬉しいです。内橋さんの第二回もお楽しみに。
実り多き!秋となりますように。 今村沙緒里

PROFILE 内橋和久 KAZUHISA UCHIHASHI
ギタリスト、コンポーザー。
欧米で高い評価を得る即興バンド「アルタード・ステイツ」
(内橋:g、ナスノミツル:b、芳垣安洋:ds)のリーダー。
83年頃から即興を中心とした音楽に取り組み始め、国内外の
様々な音楽家と共演。劇団・維新派の 舞台音楽監督を25年
にわたり務めている。他にも宮本亜門「三文オペラ」「サロメ」
河原雅彦「時計仕掛けのオレンジ」の音楽監督も務める。
音楽家同士の交流、切磋琢磨を促す「場」を積極的に作り出し、
「フェスティヴァル・ビヨンド・イノセンス」(神戸、大阪)
も12年間継続。近年はUA、細野晴臣、 くるり、七尾旅人、
青葉市子などのポップミュージシャンとも積極的に交流する。
また、2002年から2007年までNPOビヨンド・イノセンスとして
大阪でオルタナティヴ・スペース Bridgeを運営。
ハンス・ライヒェル氏が発明した新楽器ダクソフォンの日本唯一
の演奏者。今年の6月に横浜でダクソフォンの日本初の展覧会を
開催。近年はインドネシアのバンドSENYAWAを始め、アジアの
ミュージシャンとのプロジェクトを積極的に進めている。
現在、ベルリン、東京を拠点に活躍している。

PROFILE 今村沙緒里 SAORI IMAMURA
俳優、インタビュアー。
オフィシャルウェブサイト http://saorix.jimdo.com/

ドキュメンタリー監督     松江哲明さん

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ドキュメンタリー監督、
松江哲明監督へのインタビュー、
最終回です。

人と人。映画と仕事。大きいと小さい。男と女。

異なるものを、
どんなふうに、ひとつにまとめるのか?
バランスをとるのか?

そこには松江監督の、
考える力と、人間力が、関係してる気がします。

松江さんの、大好きな方達がたくさん登場されました。

皆さんへの、愛情が溢れていたからでしょうか。
私まで知り合いになれた感覚です。

そして『フラッシュバックメモリーズ3D』
第23回日本映画プロフェッショナル大賞第五位、特別賞、
おめでとうございます!

これからも、面白い作品を楽しみにしています。

第四回は、
監督としてだけでなく、
人としての「生き方のセンス」?
のようなお話しになりました。

(夢って、角度を変えると、ひょっこり叶ったりするのかもしれません。)

第四回 最終回
人間をみる

今村  これからは、大きい興行のものと、
    インディペンデントのもの、両方やる感じですか?


松江  はい。
    でも、僕には大きいものはこないですよ。


今村  くると思います。笑

    たぶんお客さんからみたら、
    『フラッシュバックメモリーズ』は大きい興行に見えますよね?


松江  そうかもしれないですね。
  

今村  それはすごいことだと思います!


松江  なんか、そう見えないものを、そう見せるとか、
    そういうのが好きなんですよ。

    最初から大きいものを見せるより、ギャップというか。
    この規模のことを、これでやっちゃうんだ、みたいな。


今村  ギャップですね!

    その例が『フラッシュバックメモリーズ』ですね。
    

松江  はい。
    
    色々な場所で上映されて、4D上映っていう形もできて、
    たくさんの人がみてくれて、嬉しいです。

今村  これからも、色々なことを、
    両方、やっていって欲しいなって思います。


松江  はい。
    両方やっていきたいです。

    小さいものもやって、大きいものもやると、
    すごく豊かにみえると思うんですよ。

    あと、インディペンデントのものって、
    直接やりとりすることが多いじゃないですか。

    大変なこともあるけど、
    信頼できる相手やチームとだと、やりたいことが共有できて、
    「純度」が高くなるというか。
    
    その「純度」が作品にも反映される気がします。
    

今村  「純度」、良い言葉ですね!

松江  はい。

    もちろん、大きい興行の良さもあると思います。
    関わってくれる人やお客さんも多いと思いますし。

    なので、両方、やっていきたいです。 

今村  松江さんは、セルフマネジメントができてますよね。


松江  それは別にやってくれる人がいないですから。
 
    疲れますよ。笑 
    全部自分でやるのは。

    助監督とかは、若い人にやってもらってます。

    大事な打ち合わせとかでも、立場関係なく聞きます。
    「どう思う?」って。
    

今村  色々な人の意見、大事ですよね。
    
    あと、年齢が違ったり、男女だと、違う生き物なので、
    意見が受け入れやすくなりますよね?


松江  そうそう。
    
    映画をたくさんみてるとか、
    そういうことだけじゃなくて。

    「生き方のセンス」がある人というか。


今村  はい。分かります。

松江  あと、若い人や、メイクさんとか。


今村  メイクさん!


松江  うん。テレビの番組やってる時とかも聞いたりします。


今村  はい。メイクさんって色々な現場を経験してるし、場数も。
    1番状況見てくれてたりしますよね。


松江  そうそう。
    あとは年齢が違う人とか、色々な人に聞きます。

今村  そう言われると、松江さんの現場、
    若い人もたくさんいる感じしますね。


松江  はい。若い人とも一緒にやります。
    

今村  一方で、前野さん達とやる時は、
    決まった男組なイメージがあります。

松江  そうですね。


今村  それが面白いなって思います。
    
    『フラッシュバックメモリーズ』もいつものメンバーですか?


松江  編集の今井大介さん整音のタカアキさんは続いています。


今村  作品によって違うんですかね?


松江  うん、そうかな。
       
    自分が監督の時は、
    好きな人たちで、わいわいやる感じになっちゃうから、
    いつものメンバーなのかな。

    でも、
プロデュースの時は、若い人も入れたいなって。
    
    「人」が入ってくるようにしたいなと思ってて。
        
今村  監督とプロデューサー、役割はだいぶ違いますか?

松江  はい。
    極端な話、映画監督できる人は、なんでもできると思いますよ。


    映画監督で、文章を書けない人はほとんどいないと思います。
    みんな書けると思うし、トークもできると思います。
    場数はあるかもしれないけど。
       

今村  たしかに、そうですね。
 
    その人の映画をみたことがなくても、
    話が面白い監督は、映画も面白いだろうなって思います。
    みてみたいなって思います。

松江  はい。

    「人」として、魅力がある人が作ったら、
    きっと、面白い作品になると思いますよ。
    
今村  そうですね。
    
    でも、監督って、
    全員と向き合わなきゃいけないですから、大変ですね。


松江  うん、大変ですよ。笑
    
    「人間を見る」っていうか。


今村  「人間を見る」、そうですね。

    人によって、頼み方や演出の仕方も、
    変えなきゃいけないですもんね。


松江  「映画監督やってなきゃ、犯罪者だよ」
    みたいなことを言う人は、
    あれは、逆だと思うんです。犯罪には、絶対いかない。

    映画監督って、自分でブレーキをかけられる人だと思う。
    
    映画監督をやってて、人非人みたいなことを言ったり、
    ひどいことを言ったりする時は、
    逆にブレーキを外してるんじゃないかな。
    それか、楽しんでるとか。

    面白い映画監督は、論理がちゃんとしてると思うんです。
    

今村  たしかにそうですね。
    
    監督って、すごく考えなきゃいけないですもんね。
    一番、質問もされますし。

    映画監督、すごいですね。

    松江さんが、自分で編集もやられる時と、
    編集を頼む時は、どういう時ですか?


松江  最近は、今井大介さんです。
    僕が編集をやっていたのは、『あんにょん由美香』まで。


今村  最初に頼んだきっかけは何だったんですか?


松江  『極私的神聖かまってちゃん』の時に編集をお願いしたら、
    すごく上手に編集してくれて。

    これからはこの人に頼もう!って。

    だから『フラッシュバックメモリーズ』『ねぇ、タクシー』も。


今村  早かったですよね!

    1日で出来上がってきましたよね。

松江  うん。早いんですよ。笑 
    
    早くて、上手いです。
    
    人間的に嘘をつかない人で、時間を守ってくれるとか。
    「人として好きだから」っていうのもありますね。


今村  周りに良いメンバーがいますね。

松江  はい。

今村  松江さんが、いいなって思う映画監督はどなたですか?


松江  山下くん!

今村  山下監督も、撮り続けてますよね。


松江  うん、あとデビューが一緒だから。
    山下くん、好きです。


今村  私も『リンダリンダリンダ』大好きです。
    ペ・ドゥナも大好きで、よく観ます!


松江  笑 面白いよね。
    同世代だし。年齢は僕が一つ下だけど、卒業は同じで。


今村  同じ学校じゃないですよね?


松江  違います。
    山下くんは大阪芸大で、僕は日本映画学校。


今村  交流は、かなり昔からですか?


松江  そうですね。
    その年に行く映画祭が一緒だったから。
    『あんにょんキムチ』『どんてん生活』。


今村  山下監督はトークショーとかでしゃべりますか?


松江  うん、上手いです。

    
    やっぱり、作ってる作品も面白いし、作り続けてるし、
    人としても、好きなんですよね。

今村  本当に、面白い方が周りにたくさんいますね。


松江  うん。
    
    僕は「人」を見る目は自信があります。


今村  昔からですか?


松江  うーん、
    
    「人」って、見て分かること、あるじゃないですか。


今村  はい。


松江  そう。


今村  あれは、なんでしょうね?直感?


松江  そういうものだと思いますよ。
    
    そこに気付いてるから、
    僕だって監督を15年くらいやってこれてるんだと思います。

今村  はい。すごく分かります。
    とても本質的で、大事なことだと思います。  
 
    良いお話を、たくさん話していただきました。

    でも、松江さんが、
    ミュージシャンになりたかったのは知らなかったです。笑
    楽器はやるんですか?


松江  笑 いや、できないですよ。
    僕、音符読めないです。


今村  笑 じゃあ、ボーカルですか?


松江  はい。


今村  自分で曲を書いたりはないんですか?
    
    映画の曲を作ったり、歌ったり。


松江  『トーキョードリフター』!


今村  あ!そうですね!!
    作詞、松江さんですもんね。


松江  そうそう。

    夢が叶ったって思ったもん!


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今村  そんなドラマがあったんですね。
    知らなかったです!
    
    『トーキョードリフター』、いい唄ですよね。


松江  いい唄ですよねー。笑


今村  曲も歌詞も、いいですよね。


松江  僕は作詞だけですよ。


今村  はい。
    でも違う人が作ったものの合作で。しかも・・


2人   前野さんとの共同作業!笑

今村  やっぱり仲良いですね。


松江  仲良いのかな。


今村  フィルターは違うけど、通じるものがあるんですね。


松江  ですかね。笑

今村  今年も忙しそうですね。
    
    新しいことも始めてるんですよね?

松江  今は、『音楽』という大橋裕之さんの原作漫画を、
    岩井澤健治監督でアニメーション映画をつくってます。
    
    僕は九龍ジョーさんと、プロデューサーです。
    
    その『音楽』から、音楽通販部も発足しました。
    
    若い人に囲まれてます。笑 
    面白い作品を作りたいと思ってます。

今村  楽しみですね。Tシャツ、かわいいです!

    松江さんにすすめられて、大橋さんの漫画買いました。
    まず『シティライツ』!面白かったです。目が好きです。笑
    
    これからも、松江作品を楽しみにしてます。 
    
松江  はい。
    面白い作品、作ります。 

今村  松江監督、ありがとうございました。

おわり

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*ひとこと*
松江さんが作詞した『トーキョードリフター』。ご自身の結婚式で、
作曲した前野さんと一緒に唄っていました。素敵でした。
松江さん、また一つ夢が叶いましたね。夢って、続けてると叶う?
歌詞の一部「あなたよりずっとこの街が好き」は奥様の言葉と知り、
さらに素敵だなと思いました。この街が好き。この街でできること。

『フラッシュバックメモリーズ4D』には、今までと「今、ここで」が、
切実に溢れていて、生きるエネルギーに圧倒されました。
病院とかでもみれるといいな。元気になれて、生きる力をもらえます。
私はそういう映画が好きです。これからの松江作品も楽しみです!

*おまけ*
松江哲明さんへのインタビュー、ロングインタビューとなりました。
松江さんは言葉が生きてる方なので、なるべくそのまま、短くしたくない、
そう思いました。全四回、慣れない部分も色々ありましたが、
『今日のお相手』一人目のゲストを引き受けてくださった松江さん、
そして、ここまで読んでくれたみなさん、ありがとうございました*
次回の『今日のお相手』のゲストは、音楽家の内橋和久さんです。
音楽と、内橋さんの人生について、いろいろなこと聞きたいと、
思ってます。私自身も楽しみです。お楽しみに*今村沙緒里 

PROFILE 松江哲明 ドキュメンタリー監督
1977年、東京都生まれ。 1999年、日本映画学校卒業制作として監督した『あんにょんキムチ』が、山形国際ドキュメンタリー映画祭「アジア千波万波特別 賞」「NETPAC特別賞」平成12年度「文化庁優秀映画賞」などを受賞。その後『カレーライスの女たち』『童貞。をプロデュース』など刺激的な作品をコ ンスタントに発表。 2009年、女優・林由美香を追った『あんにょん由美香』で第64回毎日映画コンクール「ドキュメンタリー賞」、シンガーソングライター前野健太が吉祥寺 を歌い歩く74分ワンシーンワンカットの『ライブテープ』で第22回東京国際映画祭「日本映 画・ある視点部門」作品賞、第10 回ニッポン・コネクション「ニッポンデジタルアワード」を受賞。著書に『童貞。をプロファイル』『セルフ・ドキュメンタリー―映画監督・松江哲明ができる まで』など。2012年「第25回東京国際映画祭」で記憶障害に陥ったミュージシャンGOMAを追ったドキュメンタリー映画『フラッシュバックメモリー ズ 3D』がコンペティション部門観客賞を受賞。映画専門誌の2013年度日本映画ランキングにおいて、キネマ旬報10位、映画芸 術8位を記録し、洋邦混在の映画秘宝ランキングでも17位を記録する等、名実ともに2013年度を代表する作品の一つと呼べる。 http://flashbackmemories.jp/

PROFILE 今村沙緒里 俳優 インタビュアー
オフィシャルウェブサイト http://saorix.jimdo.com/


					

 ドキュメンタリー監督     松江哲明さん

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松江監督は、好きなものへの愛情が大きい人です。

好きなもの、好きな人と仕事をするには、
どうすればいいだろう?

そのことを考え続けている気がします。

先日、松江監督と、前野健太さんと、
『ねぇ、タクシー』の打ち上げをしました。

ジャンルは違うけれど、思うことは似ていて、
“おなちゅう”(同じ中学校)の集いみたいでした。

松江さんと前野さんの特別な関係に、
ちょこっと入れてもらえて、嬉しいです。

同時に、チャレンジを続けていきたいなと、
思わせてくれる人たちです。

第三回は、松江さんの、
好きなものを好きでい続ける方法?
みたいなことを、聞いてみました。

(仕事だけじゃなくて、恋愛やらにもあてはまる気がします。)


第三回
変わらないために変わり続ける

今村  『フラッシュバックメモリーズ』『トーキョードリフター』、
    GOMAさん前野さん、共にミュージシャンです。

    音楽のドキュメンタリー映画が続きました。
    それって、偶然ですか?


松江  いや、それはプロデューサーにとっては、必然でしょ。
    
    僕がどうゆう風に撮るか、
    分かって依頼してきてるだろうし。音楽ものでって。

    GOMAさんの『フラッシュバックメモリーズ』の時は、
    もっと、最初べたべたなドキュメンタリーだったけど、
    僕が音楽風にしちゃったから。

    次は、同じことするつもりはないです。

    でも、『フラッシュバックメモリーズ』 つくっちゃったから、
    音楽では、しばらくそれ以上のものはつくれないかなって。


今村  そうですね。私もそう思います。
    
    色々な意味のチャレンジでしたもんね。


松江  うん。
    
    ただ、前野さんはちょっと違くて。
    前野さんを3Dでとかっていうのは思わないし。


今村  飛び出す前野さん。笑
    
    でも、前野さんとは、
    きっとやり続けるんだろうな、って思います。


松江  うん、僕も。笑 
    前野さんはずっと撮り続けると思います。

今村  想像できます。笑 
    あの距離感で。


松江  でも、前野さん、嫌だと思うよ。


今村  え!なんでですか?


松江  僕がずっと撮ってるの。嫌だよ。笑 
    
    僕は撮り続けるけど、
    もっと色んな人に撮って欲しい、前野さんを。

    例えばPVを撮る人が、前野さんのライブ映画を撮るとか、
    スタジオライブを撮るとか。
    そういうことをしたらいいと思う。

    もっと前野さんは色々な人と・・


今村  うん!すごく分かります!

    
松江  でも今、前野さんは、
    そういう風にしてるから嬉しいですよ。

    映像に関しては、こう言っておきながら、
    僕が言うのおかしいんですけど、

    もし、他の人が撮るなら、
    「僕よりも面白いものを撮って」って思います。

    で、たぶん、他の人はそれで悶々としてると思うんですよ。
    "松江と前野"以上に撮れない、だからやらない。

    それは僕以外の監督、がんばって!って思います。

    前野さんはミュージシャンとしては、
    すごく僕の予想を超えた人で、
    いろいろなすごい人たちと付き合っているし。

    特にジム・オルークさんとか。
    面白いなって。素晴らしいと思う。

今村  たしかに、そうですね。
    
    私が思うのは、メディアを通しての前野さんのイメージと、
    実際に会って、面と向かった時や、話した時の印象が、
    違いすぎたので。笑


松江  あぁ、そうですね。


今村  それが良いことでもあると思うんですけど。
    
    もっと、違う部分もみえてもいいのかなって。
    でも、分かりません。笑
    
    ただ、すごく面白い方だなって思います。


松江  まぁ・・
    前野さんの話は、いいんじゃないですか。笑


今村  爆笑 はい。
    2人の関係は変わらないんだろうなって思います。

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松江  うん。
    
    というか、
    変わるから、変わらなく続けられるんです。

    久しぶりにやって、前と同じだとね、
    この人、成長してないなって。

    僕はやっぱり、
    「この人なんで成長しないんだろう?」
    っていう人、嫌だもん。


今村  たしかに。そうですね。

松江  松尾さんに関しても、
    状況は変わってるのに、自分は変わらないために、
    自分自身をパアーアップしてるというか。

    別に松尾さんに、劇場映画を撮って欲しいとか、
    海外を目指すべきとか、そういうことじゃなくて。
    
    "自分の場を闘うために、常に挑戦し続けてる"
 
    そういうところが変わってないという。
    
今村  松尾さんと前野さん、一緒ですね。


松江  うん。
    
    テクニックは変わり続けるけど、魂は変えない。

    テクニックが変わってない人って、
    けっこういるんですけど、それは怠惰だなって。

    『変わらないために、変わり続ける。』

今村  変わらないために、変わり続ける。

    うん、すごく、よく分かります。
    大事なことですね。

    松江さんって、
    例えば、CMとかって撮ったことありますか?


松江  ない!


今村  CMとかも面白いんじゃないですか?


松江  ・・僕にはこないですよ。笑


今村  勿論、色々な要望があって大変でしょうけど、
    そういう制約の中でつくるのも、
    面白いんじゃないですか?


松江  やりたいです。


今村  はい。分からないですからね。
    人生は、何が起こるか。笑

    決められた中で、
    松江さんならどんなアイデアを出すのか、とか。

松江  たしかにそういうの、好きなんです。
    制約の中で変なことやるっていうのが。

今村  笑 そうだと思います。
    いつか、やってほしいです。楽しみです。

    松江さんが、
    その時、その作品をつくっている時は、
    なにを思っているんですか?

    目の前の作品がどうやったら良い作品になるか?


松江  うーん。
 
    いや、そういう風に考えてる時も勿論あったけど、
    最近は違ってて。


    ドキュメンタリーって「人の人生を撮らせてもらう」
    から。
出た人が良いものにしようって。

    出た人が後悔するものは、なるべく嫌だなって。


今村  それ、すごく、分かります。


松江  出た人にとって良いものであれば、
    必然的に良い作品になるんじゃないかって思いだして。
    
    『ライブテープ』頃からかな。

    一時は、本当に誰を傷つけようとも、絶縁しようと、
    良い作品のためにって。

    でも、それは間違ってるというか、
    そういう風にはもうやめようって、今は思う。


今村  きっかけって、なんだったんですか?


松江  たぶん共同作業でやりだしたというか。
    『ライブテープ』の時に自分のクレジットを、
    構成・演出から、監督にして。

    別にそれは、映ってる人だけじゃなくて、
    スタッフ全員でつくってる。そういうことかな。

    でも、やっぱりドキュメンタリーって、
    GOMAさんとか前野さんとか、
    映画なんてどうでもいいひとじゃないですか。

    そういう人に協力してもらう方が、
    その人にとって、リスクが高い気がする。

    僕や、たっちゃん(撮影監督:近藤龍人さん)とか、
    タカアキさん(録音:山本タカアキさん)とかって、
    
    "プロフェッショナルにこうすれば良いものになる"
    っていう技術があるから。


今村  たしかにそうですね。


松江  技術ももちろん大事だけど、そこだけじゃなくて、
    その「人」が発してるエネルギーをどういう風にするか?
    っていう。その方が楽しいんですよ。
    
    その方が良い気がする、映画作ってて。
    別にそれは善い人ぶってるとかじゃなくて。


今村  はい、ものすごく、分かります。


松江  うん、その方が楽しい。
    そういうこと。


今村  松江さんが『トーキョードリフター』の予告編で、
    言ってるじゃないですか。

    「映画を撮った時点でポジティブになる」って。

    あれ、すごくいいなって。

    でも中には作品の為にどうなってもいい!
    みたいな人もいるじゃないですか?


松江  うん、うん。


今村  その作品をみた時、みてるこちら側にも分かるような。
    
    ドキュメンタリーに限らずですが、
    印象にはすごく残りますし、
    私も昔はそういう作品、好きでした。

    ただ、私も偽善者ぶってるわけじゃなくて、
    最近は、最終的に関わってる人やお客さん、
    みんなが、ハッピーになれる方がいいなって、
    よく思うんですよ。
    
    歳をとったのもあると思うんですけど。笑


松江  うん、うん。
    
    でも・・分からない。

    人によっては、まだまだだよって思う人も
    いるかもしれないし。

    ただ僕は、自覚をして、
    ひどいことをしてきたって、ありますよ。

    "作品至上主義"の時があって。

    やっぱり、これが残ってることで、
    将来誰かを傷つける可能性があるし、
    撮って上映して傷つけてしまったりもしてるから。

    で、そういうつもりがなくても、
    その人にとっては、撮られてる時と、
    上映される時と、気持ちが変わってる場合もあるし。

    「こんなもの作りやがって」
    ってなったこともあるから。

    なんかもう、
    あんまりそういう経験をしたくないんですよ。
    疲れちゃう。


今村  それがドキュメンタリーだと、尚更ですよね?


松江  そうそう、そう!


今村  みる人は、「本当の姿」と思う人も、
    いるわけですからね。


松江  そうそう。本当に、そう。
    それが、最近考える、かな。

今村  そんな松江監督の映画『フラッシュバックメモリーズ』、
    そして、前野健太さんのライブ(4月4日!本日!)、
    2つとも、おすすめです!

つづく

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*おまけ*
『フラッシュバックメモリーズ3D』を久しぶりに観ました。
2度目でしたが、途中から大号泣で笑われてしまいました。
「映画を映画館で観てもらうにはどうすればいいんだろう?」
多くの方が考える問題に、松江監督なりの答えがあります。
はじめて観た時はびっくりしたけど、2度目はびっくりしません。
でもGOMAさんの人生に、生きる力に、大きく心を動かされました。
そうだ、これは人生の映画だった!
GOMAさん自身が、「この時の自分をみて、襟を正さなきゃなと思いました」
「松江監督に感謝してます」と誠実に話していて、
松江監督が考えていることとも一致していて、素敵だなって思いました。
3度目は『フラッシュバックメモリーズ4D』が待っています。
どんなことになるんだろう?
きっと、なにかが変わります。是非、みなさんに観てほしい映画です。

松江監督へのインタビューは次回が最終回です。
読んでくれてありがとうございます。お楽しみに*今村沙緒里

PROFILE 松江哲明 ドキュメンタリー監督
1977年、東京都生まれ。 1999年、日本映画学校卒業制作として監督した『あんにょんキムチ』が、山形国際ドキュメンタリー映画祭「アジア千波万波特別 賞」「NETPAC特別賞」平成12年度「文化庁優秀映画賞」などを受賞。その後『カレーライスの女たち』『童貞。をプロデュース』など刺激的な作品をコ ンスタントに発表。 2009年、女優・林由美香を追った『あんにょん由美香』で第64回毎日映画コンクール「ドキュメンタリー賞」、シンガーソングライター前野健太が吉祥寺 を歌い歩く74分ワンシーンワンカットの『ライブテープ』で第22回東京国際映画祭「日本映 画・ある視点部門」作品賞、第10 回ニッポン・コネクション「ニッポンデジタルアワード」を受賞。著書に『童貞。をプロファイル』『セルフ・ドキュメンタリー―映画監督・松江哲明ができる まで』など。2012年「第25回東京国際映画祭」で記憶障害に陥ったミュージシャンGOMAを追ったドキュメンタリー映画『フラッシュバックメモリー ズ 3D』がコンペティション部門観客賞を受賞。映画専門誌の2013年度日本映画ランキングにおいて、キネマ旬報10位、映画芸 術8位を記録し、洋邦混在の映画秘宝ランキングでも17位を記録する等、名実ともに2013年度を代表する作品の一つと呼べる。 http://flashbackmemories.jp/

PROFILE 今村沙緒里 俳優 インタビュアー
オフィシャルウェブサイト http://saorix.jimdo.com/

 ドキュメンタリー監督     松江哲明さん 

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   松江監督は、いつも自転車かバイクで現れます。

   リュックを背負って、
「ども」って言いながら、あの笑顔で。

   自転車に乗りながら、
なにを考えているんだろう?

   好きなものって、なんだろう?

   人を見つめ続ける松江さんが、
影響を受けてきたことって、
どんなことだろう?

   どんな、人だろう?

   第二回は、そんなあれこれ、聞いてみました。

 

PROFILE 松江哲明 ドキュメンタリー監督
1977年、東京都生まれ。 1999年、日本映画学校卒業制作として監督した『あんにょんキムチ』が、山形国際ドキュメンタリー映画祭「アジア千波万波特別 賞」「NETPAC特別賞」平成12年度「文化庁優秀映画賞」などを受賞。その後『カレーライスの女たち』『童貞。をプロデュース』など刺激的な作品をコンスタントに発表。 2009年、女優・林由美香を追った『あんにょん由美香』で第64回毎日映画コンクール「ドキュメンタリー賞」、シンガーソングライター前野健太が吉祥寺を歌い歩く74分ワンシーンワンカットの『ライブテープ』で第22回東京国際映画祭「日本映 画・ある視点部門」作品賞、第10 回ニッポン・コネクション「ニッポンデジタルアワード」を受賞。著書に『童貞。をプロファイル』『セルフ・ドキュメンタリー―映画監督・松江哲明ができるまで』など。2012年「第25回東京国際映画祭」で記憶障害に陥ったミュージシャンGOMAを追ったドキュメンタリー映画『フラッシュバックメモリー ズ 3D』がコンペティション部門観客賞を受賞。映画専門誌の2013年度日本映画ランキングにおいて、キネマ旬報10位、映画芸 術8位を記録し、洋邦混在の映画秘宝ランキングでも17位を記録する等、名実ともに2013年度を代表する作品の一つと呼べる。 http://flashbackmemories.jp/

PROFILE 今村沙緒里 俳優 インタビュアー
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第二回 
とにかく撮り続けること

今村  松江さん、食べ物は何が好きなんですか?

松江  魚と肉。

今村  シンプルですね。
    どこでも生きていけますね。地方とか。

松江  そう!地方とか大好きなんです。

今村  分かります!

松江  映画祭で地方行く時とか、延泊したりします。
    行ったことのない場所は楽しみで。お風呂とか。
    自転車も持っていったりします。

今村  色々な場所に行かれてますもんね。

    映画や企画を考える時っていうのは、どうしてます?

松江  バイクに乗りながら考えます。

    わざと遠くに行くんです。
    例えばちょっと遠くのシネコンに行くと、
    片道1時間くらいかかる。

    そういう時に、考えるというよりは、
    都心で映画をみるより、
    知らない土地の景色をみたいというか。

    渋谷や六本木の景色見てても、考える時間にならない。
    それは別に埼玉の奥地とかでも、いいんです。

今村  松江さん、色々な映画館に行かれてますよね。

松江  はい。遠くに行くこと。
    それが好きです。

今村  小旅行みたいな?

松江  そうそう。そういうの大好き。
    その間にある地方のチェーン店とか、
    ブックオフとか、本当、大好きです。

    例えばマクドナルドとかでも、都心じゃなくて、
    地方のマックの方が、ドラマがあるというか。

今村  あ、分かります!

松江  そう。子供とか中学生とかの集団も東京と違うし。
    おばさん達の大群とか、物語が見えるというか。
    好きなんですよね。

    昨日、原稿書くために渋谷の喫茶店にいたんだけど、
    隣の会話がすごくて。

    友達がいるのに、家賃のことで30分くらい喧嘩してて。
    常識としておかしくない?って思って。

今村  なるほど。
    それは、渋谷に住んでる人なんですかね?

松江  いや、地方から来てる人で、
    これが「東京」だと思ってる人が多いんじゃな
いですかね。

    それが「東京」だから、僕は映画が浮かばなないんです
。

    だから企画を考える時とか、ちょっと遠くに行きます。
    で、スーパ
ー銭湯寄ったり。

今村  銭湯いいですよね!

松江  僕、スーパー銭湯が好きで。

今村  私も!

松江  笑 地方でも、温泉街のスーパ-銭湯が好きなんです。

    地元の人ってそっちに行くじゃないですか。
    観光客が温泉に行って。

今村  そうですね。
    私は銭湯のあの大衆性が好きです。

松江  そうそう!銭湯にある、その地域の文化というか。

    スーパー銭湯入るとそれ
を味わえるし、
    そこでついてるTVが、地元のチャンネルみたいな。笑
    好きなんですよ、そういう地方っぽいものが。

    そういう場所に行くとドラマが浮かびます。

    地方の駅にいる女の子が
    「どんな本読んでるのかな?」とか。

今村  たしかに。妄想が膨らみますね。

松江  地方のブックオフとか行って、
    ここで働いてる人は「普段何してるのかな?」とか。

    そういう田舎っぽい街とか店が、今ないから。

今村  うん。そうかもしれません。

松江  でもそれを良い、悪いって言うんじゃなくて。

    気に入ったもの、変わらないものがあるっていうか。
    それを見つけられると、すごく嬉しい。

今村  なるほど。
    あと、地方のこって、かわいいですよね?

松江  かわいい、かわいい。

今村  なんなんでしょうね?すれてないのかな?
    なんか男の子も女の子も、おばあちゃんも、
    みんなかわいいなって。それが不思議です。

松江  そうなんですよね。

    僕は地方、好きです。笑

今村  昔からですか?

松江  たぶん僕、東京生まれ、東京育ちだからじゃないかな。

今村  立川でしたっけ?

松江  生まれたのは立川なんですけど、
    育ったのは、ずっと吉祥寺。

今村  都会っこですね。

松江  都会っこなんですよ。笑

    だからかな。好きなんです、
    地方のくるまやラーメンとか。
    
    そういうお店が並んでるのが、
    遊園地みたいで。わくわくするんです。

    あと、死にたくなるような風景とかありますよね。

今村  笑

松江  僕、あれが好きで。

今村  なんででしょうね?
    お父さんも好きでした?

松江  いや、親父はトラックの運転手だったから。
    ずっとそういう風景ばっかり見てると思うから。
    
    『童貞。をプロデュース』とか完全にそういうのを
    撮りたくて作った映画だから。

今村  地方が好きなのは、都会っこだからなんですかね。

    じゃあ、前野さんと逆ですね?

松江  そうそう、前野さんと逆!

    だから前野さんみたいな人の、「東京」に対する思いとか、
    埼玉のラッパーみたいな思いが、まったくないから。

今村  ギャップですね。

松江  そう、ギャップですね。
    こう見えて、東京の真ん中で育ってきたんですよ。

今村  笑 しかも吉祥寺っていう。   
    今もたまに行きますか?

松江  はい。あと学生の時は下北沢だから、
    もろ『モテキ』みたいな状況で。

今村  もろサブカルですね。

松江  もろサブカル。笑 高校生の時から。
    だから、花くまゆうさくさんとか、
    今お付き合いしてる人、知り合ってる人は、
    本当に高校の時から好きな人達で。

    例えば大橋裕之さんとかと話が合うのも、
    読んでるものや、見てるものとかが近いからで。

    自分が好きなことをやってると、好きな人に会える。

今村  !それ、すごく分かります。そうなんですよね。
    続けてると、好きな方に向かっていると・・

松江  うん、それはいいことだなって。
    で、そういう風にしていると、
    そういうのが好きな若い、新しい人と出会ったりとか。

今村  松江さんの中で、
    1番大きな「人」との出会いってどなたですか?

松江  カンパニー松尾さん。

今村  AV監督の方ですよね?

松江  そう。

今村  その方の作品、みてみたいんですよ。
    松江さんがすすめてた・・

松江  『テレクラキャノンボール』!笑
    是非、みてください。やりますからね。

今村  はい。ちょっと緊張しますが。
    女性がみても、面白い?

松江  うん。
    みたことがないものだろうから、
    好き、嫌いはあると思うけど、僕は大好き。

    オーディトリウムで『テレクラキャノンボール2013』
    上映するからみてください。   
    劇場版は2時間に編集し直してて。AVは10時間です。

今村  !10時間!?

松江  はい。丸1日かけてみました。笑
    男子のりなんですけど、面白いです。

    もしかしたらこんなの無理!ってなるかもしれないけど、
    たぶん大丈夫。あらすじとか何も知らないでみてください。

    僕は本当に大好き。感動したもん。
    泣きました。泣いた、泣いた。 

    僕の今年の2014年のベストワン。

今村  かなり、面白いんですね?

松江  うん。面白い!
    誰かの感想読んで参考にしてもいいし。

    今は、面白いか、つまらないかが、
    すぐ分かっちゃう時代だから。

今村  松尾さんとは、いつ、出会ったんですか?

松江  僕は松尾さんのAVを、若い頃からみてて。
    好きだったんです。サブカルっこだから。笑

    出会ったのは、僕が好きなミュージシャンがいて、
    松尾さんがその人のPVを撮ってたんです。
    で、そのライブ会場で会ったんですよね。

    松尾さんが『あんにょんキムチ』をみてくれてて。
    その後に、僕が『呪いのビデオ』っていう作品を撮って、
    松尾さんの会社の人が『呪いのビデオ』を好きで。

    「松江って監督の回だけ、撮り方がAVっぽいよね」って
    話になったみたいで。「他の人と違うって」。笑

    それで「あの時ライブで会ったやつか!」ってことになって。
    松尾さんから「AVやらないか?」って付き合いが始まりました。

    でも、僕がずっとAVを撮ってもダメだなって思ったんですよ。

    ダメって言うのは、AV自体の自由度が、
    狭まってるのもあるんですけど、
    松尾さんのマネにしかならないな、って思って。

    やっぱり、近くにいると影響受けすぎちゃうというか。
    それが分かって。

今村  松尾さんのところには、どのくらいいたんですか?

松江  1年半くらいかな。でも会社員とかじゃなくて、
    他の人は社員になったりしてたんですよ。
    
    そういうことも含めて、松尾さんは分かってたと思うんです。

今村  あぁ、そういうタイプじゃないと。

松江  うん。「松江も社員になるか?」
って言ってくれなくて。
    フリーで毎月頼んでくれるけど
「松江は社員じゃないよ」って。

    それで、その割には「誰か社員になるやついないかな?」
    とか
聞いてきたりして。それで僕が紹介して。

    なんて言うのかな。
    松尾さんには作品の影響を、最初受けてたけど、
    今僕の作品をみても松尾さんっぽさって、
    あんまりないっていうか。もう、そういうのはない。

    でも、生き方レベルでは、すごい、影響受けてます。
    「人」を見るというか。プロデューサー的視点も含めて。

    あと、1番影響を受けてるのは、
    とにかく『撮り続けること』。

今村  作品を撮り続ける?

松江  うん。
    1本1本の完成度が良い、悪いじゃなくて。

    僕は自分がデビューした時に、他の映画学校の先輩とか、
    特にドキュメンタリーをやっている先輩は、
    1本の映画作るのに5年、10年かけて当たり前というか。
    なんか、そのストイックさがいいみたいな人が多くて。

今村  ストイックなことは良いことでもありますが・・

松江  そう。どうやって生活いくんだ?って。

今村  生活しなくちゃ、稼がなくちゃいけないですからね。

松江  そう。それで大学教授やってる人もいたけど、
    でも撮ってないっていう。そういう人が多くて。

    デビューはできるけど、
二本目は撮れない。
    自分はそれはなりたくないって思って。

    でも具体的にそうじゃない人っていうのが、
    当時、ドキュメンタリー監督にいなかったから。
    参考にならない。

    そう考えた時、松尾さんは、とにかく撮り続けてた。

    それは、土壌を作るってことだなって思った。
    
    自分で発表する場所を作りさえすれば、
    作品を撮り続けられるって。

    ずーっと撮り続けるってことは、松尾さんの影響。
    
    他の人は1本成功すると、それを超えようとしたり、
    なんか、最高傑作を作りたいというか。

今村  1本目にこだわり、とらわれてしまうような?

松江  そう、そう。作らない人が多かった。
    でも松尾さんって、なんか失敗しようが何しようが、
    自分の人生そのものが映像になってるというか。

    本人に聞かなくてもAV見続けてれば、
    松尾さんてこんな感じの人かなって。
    お父さんが亡くなる瞬間も記録した作品もあるし。

    松尾さんのAVみてると歴史を感じるというか。

今村  松尾さんの私小説みたいな?

松江  そうですね、本当に。
    
    そうなってくると、
    面白いとかつまらないじゃなくて。

今村  生き様、みたいな?

松江  うん。
    人の人生に面白い、つまらないって、
    言えないじゃないですか。
    
    そこが本当に影響受けましたね。
    
    それぞれ違ってても、
    見続けてると「あ、松江ってこうだな」とか。

今村  はい。分かります、とても。
    松江さんの作品、毎回全然違いますもんね。

    おもちゃ箱みたいというか、次はどうくるんだろう?
    って、いつも思います。

松江  うん。笑
    でもあれは、完全に松尾さんの影響です。

    最高傑作を目指さなくていいというか。
    
    松尾さんは、こんな映像表現するのか!みたいな。

今村  松江さんの、松尾愛を感じます。

    作品も好きでしょうが、
    松尾さんのこと「人」として好きですね。

松江  うん!「人」としても好き。

    僕、「人間力」でかなり影響受けてて。

    そういう人いないんですよ、他に。
    作品好きだけど、会ってみてあんまり好きじゃないなとか。
    人間性と作品がリンクして好きっていう人、
    しかも年上の人、っていうのがいない。

    松尾さんはやってること変わらない。
    魂を削らないために、成長し続けてる人。

今村  魂を削らない?

松江  うん。魂は変わらない。

    なんでかって言うと、
    AVの状況ってこの20年くらいの間に、
    ものすごく変わっていて。

    どんどんつまらなくなっていく中で、
    1人だけ面白いもの作り続けていて。

    松尾さんだけ変わってない。
常に面白い。
    それは作品をみれば分かる。

    だって最新作が1番面白いんだもん。
    しかも質が変わりながら。

今村  それは素晴らしいことですね!

    今も影響を受け続けてます?

松江  うん・・なんだろうな。
    10時間版の『テレクラキャノンボール』みてくれって
    言われて、やっぱり僕にとってこの人は変わらないなって。
    リスペクトする先輩だし師匠だなって。

    僕は師匠って呼んじゃうんだけど、松尾さんは、
    「いや師匠じゃなくて、お前はライバルだ」って。

今村  素敵ですね。

松江  うん。
    でも「松江は俺の弟子だから」
って言う時もあって。笑
    なんか、僕が頑張ったり、作品発表した時とか。

今村  かわいいですね。

松江  笑  松尾さんは本当に面白い人です。
    
    ライバルというか、師匠であり、刺激。
    
    でもそういうことを言える12歳上の人って、
    すごいと思います。
    
    
ライバルって言える懐。
    逆におこがましいけど。

今村  いい関係ですね。
    『テレクラキャノンボール2013』みてみます!

つづく

*おまけ*
『テレクラキャノンボール2013』をみてきました。
ぎりぎりの整理番号。立ち見のお客さん、満員の客席。緊張。
はじめての映像達にびっくり!ぎょっとする場面もあったけれど、
登場する全員が自分の足で立って、全部をさらけ出す姿には、
切なさと愛情と、ドラマをみました。
隣に座ったサラリーマンの方は、何回も「うんうん」って頷いて、
スクリーンに向かって合いの手を入れてました。
心のなにかを代弁してくれたのかな。
なぜか、すかっとした気持ちになりオロナミンCを飲みました。
これは青春映画かもしれません。
大人の男の子たちの、ロマンでしょうか。
女性にも観て欲しい、スクリーンで共有したい映画です。
28日に追加オールナイト上映があるようなので、是非。

*ひとこと*
第二回のインタビューの構成はだいぶ前に決まっていましたが、
松江さんが尊敬するカンパニー松尾さん、AVの世界のことを、
私自身が知らないため、印象や個人的な思いがあまり浮かばず、
なかなか書くことができませんでした。
でも上映前に挨拶するカンパニー松尾さんと作品をはじめて観て、
やっと繋がってきました。松江さんが好きな理由も。
私のカンパニー松尾さんの印象は、愛情と起承転結のドラマと、
ちょっとした隙でした。題字のセンスも好きでした。
そんなところにも注目して、みなさんだったらどう感じるでしょうか。
最後に、出てきた彼女たちにとって、しあわせがありますように。
すすめてくれた松江監督、ありがとう。私も冒険、おすすめします。

松江監督のインタビューは第三回、第四回と続きます。
こちらはもう少し早く、更新したいと思っています。
まだまだ、世の中には、知らない世界がたくさんです。
読んでくれてありがとうございます*お楽しみに。今村沙緒里

 

 ドキュメンタリー監督     松江哲明さん

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ドキュメンタリー監督って、なんだろう?

わたしが松江哲明監督と初めて出会ったのは、
2012年の東京国際映画祭でした。
その時話したのは、5分くらいだったけれど、
とても印象的でした。

からっと笑う笑顔と、嘘を言わない佇まい。

それから交流が始まり、
今日まで、色々な話をしてきました。

前野健太さんのMV『ねぇ、タクシー』では、
一緒に作品も創りました。

つねに、新しいことにチャレンジする松江さん。

自分と相手、社会と時代を、
鋭く温かく見つめる視点。

『今日のお相手』、最初のゲストは、
松江哲明監督です。

松江さんは、今、 何をかんがえているんだろう?

(2014年2月13日 大塚の居酒屋にて)


第一回  
全部自分でできる人になりたかった

今村  子供の頃から映画監督になりたかったんですか?

松江  いや、最初はミュージシャンになりたかった。

今村  知らなかったです。笑

松江  大江千里さんが好きで。
    子供の時は、映画でいうとジャッキー・チェーン。

今村  笑。前野健太さんと一緒ですね。(『さみしいだけ』の歌詞)

松江  "全部自分でできる人"になりたかった。

    大江千里さんも、芝居やったりとか、作詞作曲とか。
    なんていうのかな、全部自分でやるの。

    組織に属してどうっていう人より、
    独立してその人のもの、っていうことに憧れた。

今村  小さい頃からそう思ってたんですね。

松江  うん。原稿を書く仕事で、
    久しぶりに『GO』って映画を観て。

    映画の中で、朝鮮学校に通ってる子達が
    「俺は会社に入らない」って台詞があって。
    「会社に入っても社長になれないし」って。
    希望とか望みがないところに行っても、仕方ないって。

    僕もそういう気持ちがあったんですよ。

    どうせ僕は会社員になっても、
    自分の出自とか、家族の中で話はしないけど、
    たぶん僕は、この国ではマイノリティというか。

    だから自分でやれる人になろうって。

今村  全部自分でできる人に。

松江  うん。ただ、僕のじいちゃんは逆の考え方で。
    公務員になってほしかったんです。
    親父よりもじいちゃんが。

今村  韓国の方?

松江  うん。韓国から来てる人だから。
    僕に安定してる仕事に就いて欲しかったんですよ。

    じいちゃんが「帰化してるんだから日本人と一緒だから」
    って、よく言ってて。

    要するに、日本人になろうとした人だったから。

    そういうのはずっと言われ続けてた。
    その反発というか。
    うちのじいちゃん、帽子屋だったんですよ。

今村  帽子屋さん!かっこいいですね。

松江  うん。家に職人さんがよく来てて。
    みんなで飯食って。

今村  お父さんよりも
    おじいちゃんの方が強かったんですか?

松江  家の中の強さで言うと、じいちゃんの方が強かった。
    じいちゃんの方が個性的というか強烈。存在感とか。

    威圧感は、『血と骨』のビートたけしさんみたい。
    あの映画見ると、本当に在日一世ってこんな感じだなって。
    映画みたいに暴力を振るったりはしないけど、
    雰囲気がそっくり。

今村  お父さんは会社員ですか?

松江  うちの父親はトラックの運転手で。
    あ、でも会社員です。

今村  松江さんに、会社員はすすめました?

松江  いや、「好きなことをやれ、やりたいことをやれ」って。

    それは父親が自分で出来なかったから。

    月曜から金曜まで働いて、
    土日の休みは映画を見ることが楽しみで。
    家族を旅行に連れてってくれたり。
    優しくて良い父親だった。

    サザエさんでいう、マスオさんみたいな人。

今村  やさしい方?

松江  うん、すごくやさしい。やさしくて自己主張が弱い。

今村  やっぱりそれはおじいちゃんが強かったから?

松江  父親は、婿養子だったから。
    ずっと家族の為に働いた人。
    今思うと、本当にやさしくて偉い人だなって。

    僕は、父親すごい好きですよ。今でも。

今村  あの『ライブテープ』(松江さん監督作品映画)の?

松江  そうそう、そう。

今村  私は『ライブテープ』を観て、
    松江さんのお父さんって、どんな人だったんだろう?って。

松江  うん。すごく良い人で、やさしくて。
    母親は今一人で住んでるけど、一緒に住む自信はないです。
    喧嘩しちゃったり。

    だけどもし、父親が生きてて一人だったら、
    きっと、一緒に住んでるかもしれない。妻を連れて。
    なんか、父親とは黙ってても苦しくないっていうか。

    僕、父親好きなんですよ。

今村  松江さんが、女性に優しいのは、
    お父さんの影響ですかね?

松江  たぶん、そう。笑 
    やさしいですか?笑

今村  やさしいですよ。

松江  あ、たぶん似てるところあると思います。

今村  ね。あと、女性讃歌。

松江  あ、あるある。
    親父の影響ですかね?

今村  そんな感じします。
    松江さんの作品、色々ありますが、
    私は女性讃歌が多いなって思って。
    もっと女性にも観て欲しいなって思います。

    あと前野さんがよく「松江さん、もてるからな」って。

松江  もてる?笑

    でも父親のそういうところはいいなって思ってました。
    すごく厳しいというか、常識を大事にするというか。

    本当に多分、誰から観ても 良い人ですよ。
    人から見たら物足りないとか思われるかもしれないけど。

    松江の親戚も、父親の親戚も、集まると、
    我が強いんですよ、とにかくキャラクターが。

    「日本の社会の中では、在日は職につかないとだめだ」って。
    だから、みんな焼き肉屋とかパチンコとか、医者とか。
    キャラクターが濃い!嫌でしたね。

今村  子供ながら?

松江  うん、子供の頃から。韓国人ってことが。
    よくあの中に僕いるねって。

    『血と骨』の世界です。
    でも父親だけそういう人じゃなかった。
    自分を出さない。写真を撮る時も一番後ろ。
    で、僕はそういう父が好きだった。

    本人は映画が好きだったから、
    映画の中に憧れとか、自己投影してたのかもしれない。
    分かりやすい映画が好きで、スティーブ・マックイーンとか
    アメリカ映画のヒーロー映画とか。
    テレビで言うと『西武警察』『太陽にほえろ』とか。

    だから僕の好きなものを、
    父親は分からないところもあったと思う。

今村  なるほど。

松江  自分が映画やりたいって言い出した時には、
    父は北野武とかインディペンデント映画とか好きじゃなかった。

今村  超王道が、好きだった?

松江  うん、超王道。『寅さん』とか『釣りバカ』とか。
    段々映画の趣味がずれてきて。

今村  でも、松江さんの中にも、
    王道を好きな部分ありますよね?

松江  あります。はい。

今村  私は両方撮ってるのがすごいなって思うんです。

    少数のマイノリティのものと、大衆性のものと。
    振幅の広さが稀有だなって思います。

    前野さんとは、最初に出会ったのはいつですか?

松江  2008年の春ですね。

今村  こういうミュージシャンになりたかった!
    って思いました?

松江  というか、こういう人がいるんだ!って。

    自分が表現したいことを、
    僕は映画でやってるけど、前野さんは歌でやってる人。

    すごい感性が近いなって。似てるなって。

今村  すぐに、話す関係に?

松江  うん、CDをもらって。
    僕はCDもらっても良いと思わないとすぐ聞かないし、
    そんなCDいっぱいあるんですよ。

    ただ前野さんのは本当に毎日聴いてて。

    仲良くなったのは、僕が自転車で事故にあった時かな。
    その時に、前野さんと直井さん(SPOTTED PRODUCTIONS)
    が、ウチに、お見舞いに来てくれて。

    僕は前野さんの『天気予報』という曲が好きで、よく聴いてた。
    iTunesの再生回数が、100回近くになってて。
    まだCDもらってから、日が浅いのに。

    それが、前野さんはすごく嬉しかったみたいで。

今村  それは、嬉しいと思います!
    私は初めて『ねぇ、タクシー』で、お会いした時に、
    2人がすごく仲が良いなって、思いました。

松江  仲良くないですよ。笑

今村  松江さんはそう言いますけど、
    仲良いです。笑 同い歳ですか?

松江  いや、前野さんの方が2つ下かな。
    僕に敬語です、前野さん。

    なんていうんだろうな・・
    あ、でもこの間夢に出てきた!

今村  爆笑 夢にでてくるって相当です。

松江  夢で、前野さんの家に泊めてもらったら、
    いじめっこの同級生がいて。

今村  そういう昔話があったんですか?

松江  いや、ない。笑 
    でもたぶん、前野さんいじめられてたじゃん。笑
    で、僕は意図をくんで、そいつらをやっつけるっていう。

今村  笑。彼氏ですね。相当、好きですよ。
    私は2人には、不思議な信頼があるなって思いました。
    『ねぇ、タクシー』の時も、じゃれてましたよね。

    普段は、2人で会ったりするんですか?

松江  会わないよ。気持ち悪いじゃん。
    なんで会うの?分からない。笑

今村  例えばご飯に行ったりとか?

松江  行かない、行かない。誰とも。

今村  仕事の後に行くことはあるけれど?

松江  そう。
    だって僕、人とあまり飲んだりしないんですよ。

今村  疲れちゃうんですかね?
    仕事柄、色々な人に会うじゃないですか?

松江  そうなんですかね。
    なんか、男の人と行くのが好きじゃない。

今村  笑 女性ならいいんですか?

松江  女性ならいいですよ!女性とは飲みたいけど・・

今村  前野さんとは?

松江  ないない、ない!
    だって前野さん、男じゃん!笑

今村  なんか飲むとかじゃなくても、
    2人で、ちょこちょこ遊んでそう。

松江  ないない、ない!

    1年に1回とか、そんな感じですよ。
    本当に大事な用件だけ。『ねぇ、タクシー』の時とか。

    前野さんから「会いませんか?」って言われる時は
    何か、あるなって。

今村  ライブを観に行った時は、話をされますか?

松江  他のミュージシャンの方もいるし、話さないです。
    お疲れ様って握手して別れるくらい。
    握手はします、終わる度に。

    そこでいいんだよね。
    前野さんとはライブでいいんです。

    ライブを見て、良いか悪いかで。

    歌が良ければそれでいい。

今村  松江さんは、ドキュメンタリーや何かを撮る時、
    何を1番最初に決めるんですか?

    その「人」を撮りたいかですか?

松江  そう。人、人!

今村  その「人」を撮るんだったら、
    何が面白いかな?って。

松江  そう。あまりテーマがどうとかとは・・

今村  実際に会って、その「人」を撮りたいって思うんですか?
    何かを見て、興味が湧くこともありますか?

松江  いや。会わないと分からない。
    何かを見た時点で、誰かが入ってるから。

今村  そうですね。
    誰かの視点や演出が入ってますもんね。

    一貫してるんですね。
    「人」が大事ってことに関して。

松江  人が大事!
    ただ自分から撮りたいか、プロデューサーの提案か、
    そこに差はない。

今村  撮ることが決まって、初めて会う人は、
    撮影前に会いますか?

松江  もちろん、会います。
    ちゃんと会って、話を聞きたいし。

    ただ撮影前に、四六時中カメラをまわしたりはないです。
    前野さんに関しても、普段撮ったりはしないですもん。
    ライブしか撮らない。

    『ねぇ、タクシー』の撮影の時も、
    「あ、こんな部屋に住んでるんだ」って。笑

今村  笑。あの部屋ですね。

    今年は、何本か映画も計画してるんですよね?


松江  そうですね。
    ただ、何本かやろうとしても、
    企画が全部通るとは限らなくて。

    1年に1本発表できるよう、できるだけ頑張ってるのは、
    単純に、わくわくするモチベーションがないと、
    自分自身がつまらないからで。

    常に、自分がわくわくするもの、というか。

    僕は性格的にもサラリーマン無理だと思ってて。
    決められたことをやって、お金をもらうのは。


今村  今まで、経験ないですか?


松江  ないです。
    バイトしてた時だけ。

    だから、バイトしてた時とか、戻りたくないもん。

    だって、楽なんだもん。
    考えなくていいっていうか。

    あと、僕は仕事断らないって決めてるんですよ。
    基本的に、どんな仕事でも。映画に関わることは。

    なんていうのかな、分かるんですよ自分がやってるから。
    もし僕が断ったら大変だろうなって。
    知ってるから断らない。

    アイドルとかタレントとかの仕事じゃないので。

    ただ最近、これは失礼じゃないか、
    と思える学生とかのは、断るようにしてますけど。
    あと、安易だなこの人、っていうのが透けると断りますね。
    プロの人はそういうことないですけど。

    映画観てないのが分かったりとか、
    僕のことを知らないのがあからさまだと、断ります。

    あと、twitterで言ってくる時は無視します。

    まず、礼儀としておかしいかなと。

    だって、今時ちょっと調べれば、
    僕の連絡先とか分かるじゃないですか?


今村  はい、そうですね。


松江  仕事の努力みたいなものが、足りないから。

    その人には返しません。
    最初がそうだと、その先も、ね。


今村  仕事の礼儀の話、
    すごく、よく分かります。

    漫画は昔から読んでましたか?

松江  はい、僕はすごい読んでましたよ。

今村  少年漫画ですか?

松江  ちょうど、ジャンプ全盛期かな。
    『ドラゴンボール』、『北斗の拳』、『スラムダンク』、
    『シティーハンター』、漫画太郎とか。

今村  すごいラインナップ!全盛期ですね。
    松江さんの時代って、
    1番最後のページに、インチキっぽい広告ってありました?

松江  あった、あった。笑 今もあるんじゃない?

今村  私、なんかあの感じ、
    松江さんとつながります。笑

松江  え!なんで?笑

今村  いや、松江さん好きそうだなって。笑

    あれ面白いですよね、背が高くなるスニーカーとか。
    私ちょっとインチキっぽい広告とかけっこう好きで。
    切羽詰まってても、笑っちゃう感じが。笑

松江  色々あやしい広告ね。あった、あった。
    あれは、今ないね。

今村  そうなんですか。ちょっと残念です。
    私の時のジャンプは、ちょっと面白くなくなりかけてて・・
    今はどうなんでしょう?でも、『ワンピース』とかありますね。

松江  『ワンピース』も、今はちょっと古い感じじゃないですか。
    僕は『スラムダンク』が終わるまで読んでたって感じかな。
    中学で。でその後は、ヤンジャンとか、サンデーとか。

今村  私、バンチが好きでした。知ってます?
    なくなっちゃいましたけど。

松江  あ、コミックバンチ?
    最近じゃん?笑

今村  大学の時に買ってて。
    『蒼天の拳』とか、『エンジェル・ハート』とか。

松江  原哲夫と北条司。笑 
    あれはもう、昔のリメイクだなって。

今村  はい。わかっているんですけどね、なんか好きで・・
    松江さん、リボンとかは読んでました?

松江  リボンは、妹が読んでたから。

今村  やっぱり!
    少女漫画、読んでるんじゃないかなって思いました!

    リボン、似合います。笑

松江  笑 『お父さんは心配性』とか。

今村  !岡田あ~みん!私もめっちゃ好きです。

松江  あと『星の瞳のシルエット』とか。

今村  ・・柊あおい?

松江  そう、そう!

今村  爆笑 分かっちゃいましたね。
    松江さんの中のロマンチックな部分が、
    少女漫画っぽいというか・・

松江  いやぁ、そうですね。笑

今村  そこが、女性讃歌にもつながる気がします。

    松江さんの作品を見るお客さんは、男の人が多いんですか?

松江  うーん、やっぱり、男の方が多いんじゃない?
    映画を観る人が、相対的に男の人の方が多いでしょ。
    でも女性も、けっこう見てくれてますけどね。


今村  はい。そんな気がします。
    でも、もっと女性にも観てほしいなって思います。

    けっこう女性が一人で観に来てて、
    しんみりしてるのをみて、いいなって思って。笑


松江  はい。色々な人に観てほしいです。
    良いものを、見つけようとしてる人とかにも、
    観てほしいですね。

    映画に限らず、本物というか、
    良いものを探してる人が、来てくれたらいいなって。

    なんかわかるじゃないですか?
    お客さん見て、この人そういう人だなーとか。


今村  はい。わかりますね。
    そんな松江さんの、作品を観たい方は、
    今は「フラッシュバックメモリーズ3D」がやってますね!


松江  はい。2月23日~28日(日)まで。シネマート新宿です。
    でかいですよ!300席とか。

今村  いいですね!伊勢丹の近くですよね。
    私、お正月に「寅さん」観に行きました。
    同じスクリーンですよね。わ、大きいです。

松江  はい。28日までです。舞台挨拶もやります。

今村  行きます!笑 
    私、4D上映も見たいんですよね。

松江  4D上映は渋谷のWWWで、
    4月にありますので、そちらも是非。

今村  色々上映されて、嬉しいですね。
    1年くらい、経ちますもんね。

松江  はい。有難いです。
    随分長くやってくれてて。

今村  大人から子供まで、海外の方も、
    みんなが、観やすい映画でもありますよね。

松江  そうですね。28日までやっているので。
    『フラッシュバックメモリーズ3D』是非。

今村  わたしも、おすすめです!

つづく

PROFILE 松江哲明 ドキュメンタリー監督

1977年、東京都生まれ。 1999年、日本映画学校(現・日本映画大学)卒業制作として監督した『あん にょんキムチ』が、山形国際ドキュメンタリー映画祭「アジア千波万波特別賞」、「NETPAC特別賞」、平成12年度「文化庁優秀映画賞」などを受賞。その後、『カレーライスの女たち』『童貞。をプロ デュース』など刺激的な作品をコンスタントに発表。 2009年、女優・林由美香を追った『あんにょん由美香』で第64回毎日映画コンクール「ド キュメンタリー賞」、シンガーソングライター前野健太が吉祥寺を歌い歩く74分ワンシーンワンカットの『ライブテープ』で第22回東京国際映画祭「日本映 画・ある視点部門」作品賞、第10 回ニッポン・コネクション「ニッポンデジタルアワード」を受賞。著書に『童貞。をプロファイル』『セルフ・ドキュメンタリー―映画監督・松江哲明ができる まで』など。2012年、「第25回東京国際映画祭」で記憶障害に陥ったミュージシャンGOMAを追ったドキュメンタリー映画『フラッシュバックメモリーズ 3D』がコンペティション部門観客賞を受賞。映画専門誌の2013年度日本映画ランキングにおいて、キネマ旬報10位、映画芸 術8位を記録し、洋邦混在の映画秘宝ランキングでも17位を記録する等、名実ともに2013年度を代表する作品の一つと呼べる。 シネマート新宿にて (2/23〜28日)凱旋上映中。http://flashbackmemories.jp/

PROFILE 今村沙緒里 俳優 インタビュアー
オフィシャルウェブサイト http://saorix.jimdo.com/

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